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2014夏期「授業法研究ワンデイ特別セミナー」
受講者から出た質問に担当講師が答える「質疑応答集」を公開!

2014年夏期 授業法研究ワンデイ特別セミナーの中で、受講者の皆様からいただいたご質問に対して、担当講師がお答えします。共通の疑問を持った現場の先生方に広く共有いただければ幸甚です。
※いただいた全てのご質問にはお答えできませんが、どうかご了承ください。

本部校出講日 科目 担当講師
7/26(土) 日本史 井上 烈巳
物理 福田 賢司
生物 鈴川 茂
7/27(日) 小論文 國井 丈士
世界史 佐藤 幸夫
地理 宮路 秀作
化学 藤原 康雄
8/2(土) 英語(客観) 吉村 和明
文系数学 貫 浩和
現代文 木村 勧
倫理 畠山 創
8/3(日) 英語(記述) 佐々木 和彦
理系数学 藤田 健司
古文・漢文 望月 光
政治・経済 畠山 創

2014夏期 授業法研究ワンデイ特別セミナー「質疑応答集」


井上 烈巳
日本史
【7/26(土)実施】

教材研究の際は、どんなものを使用し、どんなところに主眼を置いて行われていますか。一つの例をご紹介いただきたく思います。
教材研究は、生徒の身近な教材から順次行っています。具体的には、主要な教科書を最優先しつつ、図録資料集や史料集といった、学校教育で基本となるものをベースとして毎年度検討します。次に、年度の新しい入試問題から、出題率の高い語句や視点を組み入れていきます。また、出版された代表的な通史の傾向を反映させることもあります。その上で、新出の論文なども研究材料にしますが、これは生徒に配布するプリントや板書にはあまり影響させません。一度教科書をベースとしたものを大きく変更することは困難であり、かといって一部を変更することは全体の論旨や視点からみて矛盾が生じやすいという考えからです。結論としては、生徒の復習作業を想像しながら、生徒の身の回りの教材に合わせた授業準備をすることで、生徒の自主学習の便宜を図り、適宜解釈が変わっていく歴史事項そのものよりも、根本的な歴史学習法を習得させることに主眼を置いています。
論述問題の指導方法で工夫されている点はございますか。
まず、論述問題とは、生徒に何を問う形式なのか。そのことを最初に生徒に考えさせることが必要だと考えています。一口に論述問題といっても形式が多様なわけですが、総じて言えることは、暗記量を問うだけなら単語問題にした方が作問・採点もしやすい中で、あえて「論」を要求する問題を出題しているという事実は、与えられた資史料を材料に有機的に思考し、表現できる能力を大学側が求めているということです。従って、論述問題を課す大学を受験する生徒には、その心構えを理解させなければいけないと考えています。そういう意味では、自然、添削を前提とした指導が中心になるかと思いますが、生徒の解答を型に当てはめるのではなく、出題の意図に沿った解答になっているかどうか、論旨に矛盾がないかを、生徒と一緒に検討する時間を大切にしています。
戦後史をどこまで取り扱うかの目安を教えていただければ嬉しいです。
カリキュラムや試験範囲といった制限の中で計画を立てることになると思いますが、教科書の記載や大学入試の出題範囲に関わらず、リアルタイムな現在まで扱うことで、生徒の生活に結びついた学問として日本史を教えることが可能になり、歴史学習に対する生徒の興味関心を喚起できるのではないかと思います。時間的制約で内容の取捨選択は悩ましいところですが、些末な用語の暗記を強調するよりは、自分自身の現在につながる学習をしたという満足感を持たせ、日本史を学んだことの意義を感じさせた方が、自主学習の意欲にもつながると思われます。
板書とプリント学習、それぞれの有効な使い分けをご教授ください。
手を動かして整理する作業の重要性は言うまでもありませんが、限られた授業時間の中で、生徒に全ての活動を授業内で行わせることは困難かと思われます。従って、プリント学習が有効になってくるのですが、プリントの内容は、生徒の学力や意欲に合わせ、整理する作業を手助けするレベルが望ましいと考えています。空欄部の数や語句のレベルのみならず、まとめを記号化した箇条書きで整理するか、長めの文章で説明を付すか、各クラスの生徒層に合わせて作成することが大切です。また、板書は生徒の注意を引くことができる強力な授業ツールです。プリントと同一の内容を繰り返すのではなく、プリントでは表現しづらい強調や、イメージを深める作図、異なった視点の提示などを、板書とプリントを補完し合う形で提示していくことが有効だと考えます。プリントだけを注視させず、板書を眺めるだけで手を止めることもなく、プリントと板書の視線の往復ができるようなバランスが望ましいのではないでしょうか。
私の担当している生徒はほとんど大学受験をしません。もし先生が大学受験をしない生徒に向けて「日本史を学ぶ目的」を伝えるとしたら、どう伝えますか。
本来、高等教育課程で歴史学を学習することの第一義的な意味は、大学受験の準備をするためでないことは言うまでもありません。歴史学が人文科学の一翼をなしていることからわかるように、歴史教育には論理的思考力の養成や、異なった時代や文化、生活を知ることによる多角的視点の養成、資史料を解読する分析能力の養成などが目的に含まれているはずです。大学受験を意識しない生徒が多いことは、逆に言えば授業の自由度が高まることも意味すると思います。先生ご自身が大切と思われる歴史学の意義を強調した、個性的な授業が生徒の心を動かし、生徒が「学ぶ目的」に気付いていくことにつながるのではないでしょうか。


福田 賢司
物理
【7/26(土)実施】

もし先生が高校で授業をされるとしたら、教科書の進度と受験対策の両立をどのように行われますか。
高校では分野別、単元別に学習せざるを得ない訳ですが、入試問題は必ずしも一つの単元からの出題にはならず、むしろ総合的な出題をする場合が多いのも事実です。教科書の進度と合わせて受験対策をする場合は、その単元で取り扱う物理法則を用いた導入問題からはじめ、ある程度の実力をつける上で標準的な入試問題にも取り組みたいところです。ただし、その単元に収まる範囲で問題の抜粋(スリム化)や差し替えが必要です。また、特に力学は各単元のつながり、物理法則の流れというものを意識した授業展開をする必要があります。例えば、なぜ「運動方程式」の積分形が必要であるのか、力が一定の場合にこれらの法則と等加速度運動の公式との関連性が何なのかなど、力学を体系的にとらえることができるようにしなければなりません。時間的には厳しいでしょうが、各分野を学習した後改めて入試問題に取り組めるような演習授業を設けると受験対策の両立が上手くできると思います。
原子分野の指導法のポイントをご教授いただきたいです。
原子分野はまず「現象を理解すること」が大切ですが、そこに至った歴史的背景や経緯について少し触れるとより一層現代物理学について興味がわいてくるように思えます。光の粒子性については熱せられた物体から電磁波が発生する現象を上手く説明できずにいたことが発端であったり、ボーアの量子論や物質波についても様々な原子の構造の提唱と否定を繰り返した結果であり、19世紀から20世紀初頭の物理学者がどう攻めあぐね、どのような解決策を講じたのか簡単でよいので生徒にお話しするとよいと思います。また、これらの理論を実証したミリカンの光電効果の実験やフランク・ヘルツの実験などの説明にもつながります。授業では描図やグラフなどを用いてより視覚化するとよいと思います。例えば光電効果で光電子が飛び出す機構や原子核反応で発生するエネルギーや結合エネルギーなどを説明する場合はポテンシャル図を描くとわかりやすいでしょう。
単元ごとの導入時や、重要事項の説明時に話す雑学的知識(生徒に興味を持ってもらうためのもの)は、どのようなところからネタ探しをされていますか。
物理法則の発見はその時々の産業等の時代背景が大きく影響していると思います。雑学的知識には多少の科学史などを学習する必要があるかもしれません。また、これらの物理法則や原理が現在どのような形で利用されているのかなどがわかるとおもしろいと思います。ありきたりで恐縮ですが、ネタ探しについては「ガモフ全集」などは物理をあまり学習していない人でもわかりやすく、私も学生の頃よく読んでいました。アインシュタイン著の「物理学はいかに創られたか」やフント著の「思想としての物理学の歩み」などもお薦めです。また、身の回りの物理についてはいろいろな書物が出版されています(小暮陽三著「物理の常識おもしろ知識」、J・ウオーカー著「ハテ・なぜだろうの物理学」など)。
ノートの取らせ方や板書の方法において、先生が気を付けていらっしゃることはございますか。
生徒が板書だけに気をとられてしまい、内容を全く理解せず単にノートをとっているだけにならないようにしなければなりません。生徒には「板書はすべて書き写さなければならない」という意識が働くようで、取捨選択ができない子が最近は多いです。板書はできるだけ簡潔にして、ポイントがどこなのかわかるような書き方をする必要があると思います。また、ノートを取る時間と板書の説明をする時間を区別するのが理想的ですが、時間的にも厳しいところがあると思いますので、板書が多くなる場合は補助プリントなどを配布し、空所補充形式にするとよいと思います。
学習に対して受け身な生徒を、どのように主体的に学習に向かわせるかについてのヒントはございますか。
成績が優秀な子であってもこちらから課題を与えないと学習しないケースもあり、自主的に行動する生徒が最近は減ってきたように思われます。少々スパルタ的な感じもしますが、生徒にレポート等の課題を与えて提出させたり、発表させたりなど、生徒参加型の授業形態がとれるのが理想的です。ただし、生徒にとってあまり負担になるようなものは避け、生徒が自己解決できる程度の内容にしなければならないでしょう。また、章末問題や入試問題などの演習授業では、単に先生が解説するだけでなく、授業前に生徒に板書させ、この板書をもとに説明すると添削指導も同時にでき、注意点や問題点がよりわかりやすくなると思います。


鈴川  茂
生物
【7/26(土)実施】

最新知見の情報を集めるためにどのような工夫をされていますか。
以前、テレビで「Muse細胞」に関するニュースを見たとき、2011年の中央大学の問題を思い出しました。私は本セミナーでも申しましたように「入試が教育課程を先行している」と考えております。常に最新の入試問題を解いておけば、日々流れている情報の中で、“何が最新知見であるのか”を見つけやすくなるように思います。そこで、私はさらなる専門教養のブラッシュアップを図るため、その最新知見に関する内容を「細胞の分子生物学」などの書籍で確認し、情報を集めるように努めております。また、最新の入試問題を解いた後、学生の学習効果がアップしそうな最新知見を取り扱った問題を積極的にテキストに掲載させていきます。それを授業で取り扱うことによって(“学生の前で説明をする”という負荷をかけることによって)、私自身の最新知見への見解を磨いていっているつもりです。
センター試験を見据えた場合、新課程はどこまで深く扱えばよいかの目安を教えてください。
私は、センター試験の対策を行う際、教科書に太字で記載されている用語だけでなく、細字で記載されている用語や「発展」「参考」「+α」の項目で扱われている内容にも触れていくべきであると考えております。旧課程の時の話になってしまいますが、2010年センター試験では、多くの(旧課程の)教科書では「発展」「参考」で扱われていた「細胞分画法」が出題されました。また、2011年センター試験では、多くの教科書では細字で記載されていた「サフラニン」に関する内容が出題されました。過去問を参考にすると、これらを元に大学入試センター側が問題を作成してこないとは言い切れないです。受験対策のプロとしましては、このあたりの対策もきちんとしていくことが“必須”であると考えます。
1コマの授業準備にかける時間はどのくらいですか。また、どんな準備に最も多くの時間や労力をかけますか。
私は、授業準備にかける時間の基準を“授業時間と同等の時間”としております。また準備には、“押さえておくべき事項やそれらを話す順番をどうするか”に多くの時間や労力を費やします。「発生のしくみ」単元を例にして述べさせていただきます。まずは、この単元のオチを「シュペーマンの実験」と設定します。その際、事前に外胚葉の予定表皮域と予定神経域の位置を生徒に理解させるため、フォークトの「原基分布図」について触れておく必要があります。また、事前に「調節卵」の説明をする際にも、灰色三日月(原口背唇部)の役割を確認します。こうして、シュペーマンの実験の説明を行う際には、外胚葉の発生運命の決定時期の話に加え、原口背唇部の陥入における「神経誘導」の話や「アクチビン」や「BMP」の働きの話をします。このように、私は明確な“オチ”を設定して、事前に学習した内容と“つなげていく”作業を重点的に行っていきます。
学習進度や理解力の異なる生徒が混在している時、どのように授業を進めていますか。
基本的には「講義形式」で授業を展開します。できる生徒(←学習進度が進み、理解力が高い生徒をこのように表現させていただきます)にとっては、学習効果が低いように思えますが、そのような生徒に対しては積極的に授業中に当てるようにして対応していきます。できる生徒と言っても完璧に細かい用語などの事項を熟知していない可能性が高いので、そこをくすぐるように授業を展開していきます。できない生徒にはそのやり取りを見せて“自分の目標”を明確化させます。そして、できる生徒には授業外で実験考察問題の個別課題を出し、個人的に添削を行います。過去には本当にできる生徒がいまして、そういう生徒には「遺伝子の本体」単元の「グリフィスとエイブリーの実験」の“年号”などを聞いてみるなど、私自身、模索しながら授業を行いました。
少ない時間でいかに教えていくかについて、先生が工夫されていることはありますか。
私は、本セミナーで紹介させて頂いた“順番をつける色分け”を黒板上で表現することで覚えるべき用語を強調しております。これを行うことで、生徒に伝えるべき“重要度の違い”も自動的に明示できるので、必然的に書く内容は削られていきます。これだけで授業中の無駄な時間の多くが節約できると思います。また私は、授業を行った直後に“授業で扱った範囲”の穴埋め形式などの基礎的な知識問題(←本セミナーで紹介させていただいた「鈴プリ」です)を解かせるようにしております。このようにすることで、授業中に行う“確認事項の整理”の時間も節約することができます。また、本セミナーで板書させていただいたように、黒板上に☆や※などの記号を多用していくことで、書くべき用語の“二度手間”を減らし、スマートな板書作りや授業時間の節約を意識しています。


國井 丈士
小論文
【7/27(日)実施】

私自身、小論文の書き出しは「賛成か反対か」で書き始めさせており、一辺倒になっている気がします。可能ならば、他の方法をご教授いただきたく思います。
以前は、賛成か反対かで書けるような小論文の課題も確かにありました。しかし、最近の問題は、文章を読んで受験生自身が問題意識を持つ、あるいは図などのデータから論点をあぶり出すようなものが増加しています。したがって、生徒自身が学校生活を通して、自ら問題意識を持ち、主体的に考えるような日々の教育が大切ではないでしょうか。浪人生の小論文の答案を見ると、その生徒がどのような学校生活を送ってきたのかが透けて見えるような気がします。
最近の生徒にどのように国語力をつけさせるかについてのヒントをいただければと思います。
国語力とは定義が曖昧で、国語教育の専門家の論文を読んでもはっきりしません。そこで、「国語力とは、小一から高三までの学習事項が漏れなく習得されているかどうかだ」と私は考えています。たとえば、指示語、文の種類と性質、漢語の構成、翻訳語の把握などが挙げられるでしょう。そのような事項を学習指導要領(小・中・高)に沿って一つ一つ説明し、演習させることが、何とも地味ではありますが、私が日々の授業で実践していることです。
国語科以外の教科担当者が小論文を指導する際のポイントを教えていただけますか。
市販の参考書や業者の添削指導例を参考になさる先生もいらっしゃるかもしれませんが、あまりおすすめしません。修士論文や博士論文など論文を書いた経験がないと明らかに分かるような教材が散見されるからです。あまり学校では採用していないのですが、「国語表現」の教科書と指導書に目を通すのがよいのではないでしょうか。とくに、指導書には、授業の展開・採点例・思考力の訓練(ブレーンストーミング)など、かなり具体的に説明されています。表記・表現の分野は国語科の領域ではあるけれど、内容に関しては国語の担当教員以外の先生の方が精通しているのですから、そんなに神経質になる必要はないのではないでしょうか。
教員1名に対して生徒が30人いるクラスで、小論文の授業を行っています。先生ならばどのように進められますか。
私の場合、むしろ生徒が30人いるようなクラスでの授業が多いので、講義形式ということになります。少人数の場合は、一人一人に指導していくことができます。それに対して多人数のクラスでは、生徒の共通の弱点や似たり寄ったりの思考に着目して、プリントの使用が効果的ではないでしょうか。講義の流れとしては、前半で問題の考え方や解き方の説明、後半ではそのクラスの特徴的な事項について触れていくということになります。
小論文の採点基準や採点方法について、目安等を教えていただければと思います。
まず、おおまかに〈表記・表現〉(字体・送り仮名・漢字・主述の呼応など)と〈内容〉(論の流れ・適切な例や比喩の使用・課題に答えているかなど)に分けてみるとよいでしょう。その上で、一応の目安としてA・B・Cの3ランク程度が適切ではないでしょうか。ただ、実際の入試の採点者は、いわゆる「落とすため」に答案に目を通しているわけですが、私たちはその生徒が自分の思いを正確な文字と表現で、思考力を駆使して最大限のパフォーマンスが発揮できるような指導の一環として採点をするべきだと思います。生徒のあら探しをするような姿勢は慎むべきです。


佐藤 幸夫
世界史
【7/27(日)実施】

「解説⇔板書」等をどのように組み合わせ、どのようなバランス、タイミングで実施されていますか。
3種類の授業形態があります。(1)「演習解説の授業」 解説に合わせて、重要事項を随時板書します。ただ、書きながら話すことになりますが、まず、柱やポイントを大まかに板書してから、追加書きしていく感じになります。 (2)「ポイント解説が狙いであるテキスト&プリント中心の授業」 まず最初に、時間内で解説するポイントを空所補充や穴あき図解のようなモノで板書します。それから、テキスト・プリントの解説に合わせて、随時板書の解説をしていきます。最初の板書時間は、トータル時間の4分の1程度を目安にします。 (3)「流れや基礎レベルの習得が狙いの板書中心の授業」 90分授業の場合、生徒の集中力を考え、最初の25分程度は板書、5分程度導入の話、60分で板書授業です。テキストは必要な箇所のみチェックさせ、後でノートに貼らせるよう指示しています。
私はパワーポイントを使ったりしながら授業を行っていますが、ICT機器の使用について、先生の考えをお聞きしたいです。
私も大学生用の講演会ではパワーポイントを使用しています。これは、あくまでも、本人たちが面倒にならず、話に集中してくれることや、映像を使用できるという点で使用しています。つまり、暗記する、テストで点を取る、深く記憶に残すということに重点を置いていないので、自分で率先して学習する意欲のある子供以外は、テストの点には結びつかないと思います。もし、使用するならば、あくまでも、板書授業が中心で、補足説明の写真・史料・図表・地図の説明をなさる時に使用するのならば、効果的かと思われます。ただ、私たちがサテライン授業(本部校対面授業の生中継授業)をやる場合は、写真・史料の権利問題で規制が多いため、やりたくてもやれない状況です。
高校現場では生徒に発問をし、対話型の授業をすることが重要とされています。授業中の生徒への発問については、先生自身どのようにお考えですか。
予備校現場では不可能に近いです。興味を持たせることは勿論大切です。ただ、48回の授業と夏期・冬期講習という限れた時間の中で、成績をあげ、私の授業にお金を出して来てくれた子たちに満足感を持ってもらうことを重視すれば、魅力的な講義をすることが重視されてしまいます。また、発問や対話をすることで時間が読めないこと、多くの生徒が発問や対話を予備校の世界史講義に望んでいないことから、残念ながら一方的にならざるを得ません。ただ、できる限り、子供たちが気軽にそして個人的に質問や相談ができるような雰囲気作りは心掛けています。しかし、高校現場では、学年や狙いにもよりますが、発問(というより、発表)はとても必要なモノだと思います。それは、講師からの場当たり的な質問に答えさせるモノではなく、課題として発表させるとか、プチ模擬国連、プチウィーン会議、プチ人種差別解決案など、世界史を実際にその時代に遡り、考えてもらう形式が面白いかと思います。
年号についてどこまで踏み込んでやるべきかをお聞きしたいです。
最終的な目的によります。年代を全く暗記する努力をしなくても、世界史に興味を持つことは可能ですし、ある程度、テストで点を取ることも可能です。事実、流れを理解するのに、自動的に年号を覚えなければいけない単元や分野もあります。無意味にただ年代暗記だけをさせるのは、世界史嫌いを引き起こす要因にもなってしまうので、注意は必要かと思います。しかし、大学入試となると話は別です。慶應・上智・立教・立命館など年代を空所にしてくる大学などは絶対必要ですし、早稲田・明治・中央・関学・南山のように、正誤で流れを聞いたり、出来事の並べ替えを出題する大学でも年代無視は致命傷です。予備校では、山川用語集での頻度5以上の用語に限定し、戦い・戦争・条約・会議・法律・事件・乱・王朝の変り目、国王や皇帝の即位年、革命などの流れのある出来事は、時代別・地域別に単語カードを作らせて、暗記させています。
意欲的に新しい取り組みを行うために工夫されていることはございますか。
諸先生方の方が感じられているとは思いますが、年々子供の能力が下がっています。書くスピード、暗記力、集中力、積極性、ひらめきなど、多くの点で劣ってきているのは事実です。板書ノートの作り替え、よりコンパクトな世界史のポイント絞り、子供たちへのチェックテストなどのアプローチをしています。そのために、相談や質問に来た子に、高校での世界史の状況、苦手な分野、本人の悪い癖、苦手とする勉強方法など、質問以外のことを何気なく聞き取るようにしています。それ用のノートを作り、まとめております。また、今年から卒業生で「教師の会」を開催することにしました。予備校・塾・高校・中学校の先生を集めます。日本の教育システム、世界史の未来を憂いながら、多くの方々の経験を自分の教授に活かせたらと考えております。


宮路 秀作
地理
【7/27(日)実施】

初見のデータ、資料の分析力を日頃の授業でいかに高めさせるかについて、何かヒントをいただけますか。
データや資料の分析能力は一朝一夕には身につきません。入試の定番となるデータ(あるいは統計)には共通項が存在することがありますので、それを見つけて、背景を理解することが重要です。資料の分析も同様ですが、それには最低限の知識が必要であると思っています。よく地理を学ぶ上では「思考力が重要である」といわれますが、思考するのに必要な最低限の知識の集積をおざなりにする生徒が散見されます。この姿勢を正してあげること、そして最低限の知識とは何なのかを、我々指導する側が常に模索していくことが大事なのではないでしょうか。
地形図の読み取りが苦手な生徒に対して、効果的な指導方法を教えていただきたいです。
地形図の読図は、慣れてもらうことが最も大事です。本来地形図とはフルカラーで作成されるものですが、入試問題などでみる地形図は白黒二色です。等高線も細い河川も、狭い道路も、すべて一本の線で描かれますので、初めは慣れないと思います。私は、地形図を拡大コピーして黒板に貼り、チョークで色を付けながら解説する方法を採っています。また地形図の原本を購入して説明するのも良いかと思います。生徒には色鉛筆を用意してもらい、実際に白黒の地形図に色をつけて全体像を把握させていくことは効果的だと思います。
私は地理が専門ではありません。地理の授業をする上で(もしくは学ぶ上で)、大前提として心得ておくべきことを教えていただけますか。
地理とは「地球上の理」であると思います。地球には、各地域に独自の自然環境があり、それを利用して人間たちが生活をしてきました。その土地で取れる物、これを材料とした食文化こそが、その土地の伝統的料理でありますし、その自然環境に応じて衣服や住居に工夫を凝らしてきたはずです。このような自然環境と人間生活を切り離して理解するのではなく、繋がりを持って一つの知識となるように学ぶ、教えることが重要であると思います。またこうして構築された人間生活は、先人たちが不断の努力で築いたものですので、絶えることなく後世に伝えていくことも、我々のやるべきことの一つなのではないでしょうか。
センター試験で生徒の得点力を上げるために行われていることはありますか。
(1)「細かく暗記しない、大きく理解する」これを徹底して意識するように指導しています。細かい暗記だけでは、特にセンター試験だけで地理が必要な生徒には、知識の定着を図ることが困難であるように思います。そのために、具体的な事例ばかりを追うのではなく、それらに共通する地理的事項について解説し、大きく理解させることが大事だと思います。 (2)「思考に必要な知識の集積を忘れない」地理的思考力という言葉が一人歩きしている印象があります。そのため思考力が大事であるとの認識はあるようですが、考えるためには知識が必要であるという観点が欠けている生徒がいることもまた事実です。必要最低限の知識の集積は必ず行って欲しいと思います。
論述問題に対してのアプローチ方法についてご教授いただきたいです。
論述問題の基本は、まず「相手に一発で伝わる文章を書く」ということです。このことから論述問題は、内容検討もさることながら文章能力の育成も主眼の一つです。また出題者が「どのスケールで作問しているか?」を捉えることも重要です。例えば、「東京で気温の上昇がみられる理由」を、地球温暖化という地球規模に展開するスケールで論じることは、明らかに出題者が要求していないスケールで論じています。出題者と同じスケールから論じているかどうかを添削して、意識付けすることは、非常に重要であると思います。


藤原 康雄
化学
【7/27(日)実施】

生徒から「この授業を聞きたい」と選ばれるために、予備校講師の先生がどのような努力をされているのかをお聞かせいただきたく思います。
大きく分けて2つのことを考えています。(1)まず、生徒からの質問を受けることで『疑問が生じる点』をストックします。次に、それを解決できる説明を考えます。最後に、授業で『疑問が生じる点』を中心に解説していきます。始めたばかりのころは生徒と同じ問題集を購入し、受けた質問をそこにメモしていきました。長く続けていくとストックが多くなり、レベルを分けた授業が構成できます。(2)一人一人に対応します。ちょっとカッコつけですが、『この先生は丁寧にみてくれる』と思われることに幸せを感じています。これからも生徒を合格させることに真剣でありたいです。
教材研究のために、どんなものを参考にされていますか。
各年度の入試問題は入手次第解いています。その際、テキスト作成にも活用できるよう、単元ごとに分けたうえで『使いやすさ』の順位付けを行っておきます。とはいえ、すべての大学の入試問題を解くことは不可能ですから、自分の中での優先順位は存在します。センター試験や旧帝大、早稲田・慶応・理科大および解答速報を行っている国公立大学は、実施直後に入手できますので、すぐに解いてしまいます。また、私立医学部と私立薬学部受験生が多く集まる授業を担当しているため、それらの入試問題も入手でき次第解いています。その他の大学は年度により増減します。私立医学部や私立薬学部は特に出題のコンセプトがはっきりしていることが多いため、生徒指導には効果があると思います。
教科書の「発展」をどこまで扱うかについて迷うことがあります。入試対策の面から判断する場合には、どのように扱うのがよいとお考えですか。
教科書に書いてあることは何が出題されても問題ない、という観点からするとすべてを扱う必要がありますが、時間的・レベル的に不可能です。近年の入試問題で扱われていれば判断しやすいです。しかし、『必須アミノ酸の具体例』のような知識ものは特に判断が難しいです。実際の授業では、理論化学分野は発展だけを扱う回次を作り、そこでまとめて『入試での出題例とその解説』を紹介します。知識分野はきりがないですから、『自分の志望大学の過去問で使われていた場合それについては覚える』と指導したうえで、『判断がつかなければその問題をもって相談しにくる』という形で幅をもたせます。
私は生物を専門にしています。化学を教える際に中心に置くべき考え方をご教授いただきたく思います。
生物の実験考察ほどの難解さはないですが、化学の入試問題には『日本語の難しさ』を感じてしまう生徒が多いです。公式に当てはめるだけのことはできても、文章が少しでも長いとできないのは、問題を読んでいないからです。一文一文読むことの習慣をつけさせることが大切だと思います。また、一見すると単元が多くその関係性が希薄なので、以前学習した内容が苦手でも新しい単元は苦手ではなくなる生徒もいるかと思います。単元の変わり目をチャンスととらえることがあってもよいかと思います。
宿題や考査の問題選びのポイントを教えてほしいです。ピンとくる問題がなかなかなく、これでいいのかと不安になることがあります。
授業で最も理解してほしいところを扱う問題と、授業では大きくは扱えなかった知識を補強する問題に分けて選択していくのもいいのではないでしょうか。ここは重要であるということを伝えたい部分は宿題でも考査でも扱いたいところです。また、授業では手薄になってしまうところを問題集で補わせるために、宿題を出すという形で問題集を利用するのもよい方法かと思われます。


吉村 和明
英語(客観)
【8/2(土)実施】

中学英語から高校英語への橋渡しがなかなか難しいと感じます。何かヒント等をいただけますか。
まずは、「中学校で習ったはずのことが、高校入学の段階で必ずしも定着しているとは限らない」という現実を受け入れることが必要だと思います。ここは中学校で習っているはずだから、という理由で説明をはしおると、ドロップアウトする生徒が必ず出てきます。また、文法単元の説明をする際に、中学校の範囲を取り除いて説明すると、核のない、重箱の隅をつつくような説明になってしまうでしょう。「中学校で習った」という前提を排除して、「1から叩き直してやる」くらいの気持ちで臨まれると良いかと思います。また、「ここは中学でやってるはずだけど」の発言は、最小限にとどめる方が良いようです。「君は中学の範囲がダメだから」と中学生用の問題集を課題として与えても、自習は困難で、また、プライドが傷つけられ、うまくいくことは少ないようです。
入試直前講習等で必ずやっておいた方がよいこと等はありますか。
直前だからあれこれ手を出さずにポイントを絞る、これも大事なことですが、出題傾向に合わせて内容が偏りがちなこの時期こそ、敢えてバランスを大事にしましょう。知識の確認に加え、様々なパターンの問題に挑戦させましょう。たとえばセンター試験対策として、その過去問、予想問題ばかりしていると、頭が硬くなり、ちょっとした変化に対応できなくなります。少し大きな負荷をかけた方が、柔軟な対応ができるはずです。また、マーク中心の入試前に、ちょっとした記述問題の演習を組み込むと、スピードが上がるようです。逆に、本格的な記述問題を課す国公立大学志望者の場合、過去問題ばかりやっていると採点基準が甘くなりやすいですが、私大のマーク問題をやらせると正解不正解がはっきりしますし、読みが正確になります。
「読む」という行為ができていない生徒に対しては、どのように指導されますか。何かアドバイスをいただければと思います。
内容把握以前に、まずは構文の把握を丁寧に指導することが重要です。内容も考えずに、英語を機械的に日本語に置き換えるのは確かに問題ですが、単語をつないで訳をでっち上げることを脱却するのが最優先です。まずは単純なものから、英文の構造を正確に把握する作業をさせましょう。単文レベルで S, V, O, C, M をつけさせ、徐々に複文へとレベルアップさせていきます。その際、「5つの文型に分類する」ということをあまり前面に出さない方が、抵抗が少ないようです。
いかにわかりやすく説明できるかを常に考えています。何かヒントをいただけますか。
わかりやすく…これは永遠の課題ですね。英語の場合、何をもって「わかった」となるかが曖昧で、それゆえ「わかった」という実感が持ちにくいのではないでしょうか。教科書を読んで解説を聞いて訳を書き取った、だからテストに出れば訳は書ける、でも「わかった」かと問われると、実感が無い。こんな生徒が多いのではないでしょうか?そこで発想を変えて、「何をできるようになれば良いか」という目標、ノルマを設定し、そこに至るための手順を示します。「わかった」でなく、「できた」という明確な喜びを与えようと工夫を続ければ、自ずと「わかりやすい」授業になるはずです。私の経験では、ポイントを絞り、1つの項目にできるだけ多くの時間を割くことが肝要です。
教えるべき項目を取捨選択する上で大切な基準や、授業中焦点を当てるべきことについて、日頃先生が心がけていらっしゃること等がございましたら、ご教授ください。
「何を教えるか」よりも「何を教えないか」に意識を向けます。以下、特に文法の授業で私が教えないようにしている、もしくは説明する機会は別に設けているものです。(1)遭遇する頻度が低く、知らなくてもあまり支障がないもの。(2)その段階では習得があまりに困難なもの。(3)そこで説明してしまうと、ほかの重要な部分がかすんでしまうもの。(4)ちゃんとわかっていなくても、感覚的になんとかなってしまうもの。 自習用に問題集を指定している場合には、やらなくて良い問題を指定してあげると良いでしょう。長文の授業でも、あまりに難解な項目を含んでいる場合は、「ここはまだできなくていい」と、飛ばす部分があっても良いはずです。


貫  浩和
文系数学
【8/2(土)実施】

先生が板書の際に工夫されている点があれば教えてください。
板書は、生徒がノートに写して持って帰れる唯一の情報です。その授業のテーマが一目で分かるように『方針』という見出しでコメントを残すようにしています。単なる問題解説の板書では、生徒が各自問題集をこなしていることと変わりがありません。その問題に対するアプローチ法を様々紹介し、見通しを見せてそれを板書にまとめています。
先生はどのように教材研究をされているのですか。
教材研究は主にテキストを作成する際の、問題を選ぶときに同時に行っています。どんな問題の出題頻度が高いのか、どんなテーマがどのような形で出題されているのか、等を研究して、それを授業で説明しています。また、これまで行ってきた発想で解ける問題は、統一性を持って解説することを心がけています。
授業で使用する問題を選ぶポイントがあればご教授ください。
まずは受験の基本的な発想が漏れなく説明できるように、教材を組むことを考えています。次のステップとして、その基本的発想だけでは解けない(経験を必要とする)ような問題を紹介できるように、問題を選んでいます。またその中で、計算の技巧や新しい発想方法が紹介できる問題を入れておくと良いと思います。「授業で何を生徒に伝えたいか」のテーマを予め決めてから、問題のチョイスをすることが大切だと思っています。
センター系模試でなかなか点数が伸びない生徒に対する指導は、どのように行えばよいのでしょうか。
センター対策は非常に難しいと思います。生徒が早く発想し、ミスなく計算実行できるようになるには、「私たち(教員)が解くとしたらどこにポイントを見つけ出して効率良く解いていくのか」を教えていく必要があると思います。ただこれは、一定の学力が身についたらの話ですから、ここまで到達できていない生徒には、計算練習や公式の利用法など、定番の問題を解く訓練はしなければなりません。特に上位を目指している生徒には、多くの過去問研究はやらせるようにしています。経験を積む事でスピードが出せるようになると思いますので。
良問の見分け方について、何か基準等があれば教えていただきたいです。
基本事項を導入する際の良問と、入試の勉強をする際の良問は違うと思いますが、基本事項を導入する際には、テーマ以外に余分な問題がついていないものを極力使っています。逆に入試対策の際には、様々な思考をマスターしていないと完答できないような問題を使うようにしています。生徒が身になったと実感できる授業とは、「体系的に理解し、様々な問題にも対応できる思考方法をマスターできる授業」だと思います。それを紹介できるような問題が、良問だと思います。


木村  勧
現代文
【8/2(土)実施】

教科書学習と受験勉強が乖離してしまっていると感じます。何か有効な方法等はございますか。
まず教科書で取り上げた文章の「要約」の学習から、課題にすると良いと思います。この「要約」作業は、生徒の学力に応じて「一文要約」、「段落要約」、「段落間の要約」、「全文の要約」の順に、難度を上げていくと良いでしょう。その上で、「一文要約」の場合であれば、これを繋ぎ合わせて段落を作成し、次に、その段落内に傍線を引いて、その傍線部分が「どういうことか?」という問いへと発展させていきます。「段落要約」、「段落間の要約」、「全文の要約」の場合であれば、その要約を基に、本文中に傍線部を引いて、これについて「どういうことか?」という問いに答えさせます。要は、今使っている教科書教材を、問題演習へと発展させていくというのが、最も効率的な指導方法であると考えます。
評論文を読むスピードを鍛える方法はありますか。生徒に対して適切なアドバイスができずに悩んでいます。
ズバリ、まずは、教材読解の「繰り返し」だと思います。私が普段指導していても、いったん学習した素材を、解説を聞き、間違ったところを復習してそれで終わり、という生徒が大半を占めています。繰り返しの読解によって、文章の展開のリズムを体得させることが先決でしょう。その上で、過去に取り上げたことのある教材を使って(負担を減らすためです)、その一部あるいは「段落」を速読の課題として利用されると良いと思います。速読後に、その意味を発表させる「スピード・コンテスト」を授業内で実施されてはいかがでしょうか?この場合にも、生徒の学力、学習レベルに応じた課題(本文選択、本文分量の判別)の選び方がポイントになります。
もうすぐ補習が始まります。ずばり、先生は受験現代文の力をつける極意は何だとお考えですか。
まず、第一に重要なのが実践的な問題練習です。実際の入試問題を利用しての演習が一番効果的です。教材は、選択式であれば「センター試験の評論文」が一番でしょう。記述式であれば、旧帝大を除く国公立大学の二次試験(記述式)の問題であれば、基本的にどれでも構わないと思います。第二に、時間トレーニングです。限られた時間内で集中力を発揮し問題にあたる能力がなければ、入試には太刀打ちできません。この点については、普段の問題演習の時に、まず制限時間を決めてその中で解く練習をすることが必要でしょう。時間内に解く作業を終えたら、その後でじっくり検討し直す、といういわば2段階の練習が必要でしょう。第3に、生徒のモチベーションを高めていくこが必要でしょう。生徒が自らの実力の向上を実感できるように、易しい課題から順に難度を上げていき、途中でまた難度の低い問題を織り交ぜながら自信を持たせ、やる気を持続させることが必要と考えます。
現代文を学習して、学力がついた、読解力が向上したと生徒が実感できるためには、教師側はどうすればよいのでしょうか。
教員から、生徒に実力の向上を実感できるような働きかけをすることが重要と考えます。例えば、(1)授業中に当然生徒が理解ができていると思われる内容について、あえて生徒に確認を求めることが効果的だと思います。教える側にとって、大したことのないと思われる内容であっても、教員の質問に答えられたという生徒の自信は、生徒のモチベーションを大いに高めます。(2)次に、生徒が当然できると思われる内容の小問のプリントを作って生徒に配布し、高得点をあえて与えるという方法も効果的だと思われます。その際、赤ペン等で[合格!]等の記載を加えたり、「よくできました」等のハンコを押してあげると生徒は喜んで、課題に取り組みます(小学生への指導方法のようですが、実際は浪人生にとっても、効き目があります)。
要約はどのようなタイミングで扱うことが効果的でしょうか。(予習の際、復習の際、など)
ご質問にあるように、要約の課題は扱うタイミングが重要です。基本的に生徒の能力によってそのタイミングは異なります。(1)生徒のレベルが極めて高い(旧帝大受験レベルの)とき:授業前の全文要約を課題にすることが効果的だと思われます。逆に言えば、このレベルに達していない生徒に対しては、授業前の全文要約は課題とすべきではないでしょう。なぜなら生徒にとって、要約文作成の負担が尋常でないほど高いものになってしまうからです。(2) (1)以外の生徒の場合:授業後(本文読解後)の要約文作成が、良い課題になると思われます。その際にも、生徒のレベルによって、授業時に、その文章の要約のポイントを伝えておくことが必要でしょう。(3)生徒の学習レベルが低いとき:授業後に「全文」ではなく「段落」あるいは「段落間:数段落」の要約を課せば良いでしょう。いずれにしても要約は読解力を飛躍的に向上させる学習方法です。うまく工夫して生徒指導に役立てていくべき勉強方法であると考えます。


畠山  創
倫理
【8/2(土)実施】

パワーポイントを使用して倫理の授業を行う際の注意点等があれば教えてください。
セミナーでも申し上げたとおり、「見せっぱなしにしない」、「情報過多にしない」ということです。できるだけチャートやイメージを提供することを前提にしてください。また印刷教材や補助プリントと同じ物を投影することも効果的ではありません。生徒がどちらに視点を合わせればよいか迷ってしまうからです。教師に視点を合わせてもらう工夫として、Black画面を用いて、適宜スクリーンを切る事が大切です。
倫理は抽象的な内容のものが多く、生徒には「暗記科目」と捉えられがちです。どのように生徒に興味関心を持たせられるかをお聞きしたいと思います。
生徒の周りにある、「倫理的ジレンマ」を具体例にしながら、導入部分をつくってください。セミナーで扱った「サッカー部の友人への余命告知」や、「善悪の境目」など、割り切りにくい問題を、「哲学者はこう考える」としながら、授業に繋げるとよいでしょう。具体例の幅の広さと正確さは、日々の教材研究の結果として表れるものだと思います。また最近の歌謡曲や、生徒のレビューシート、グループ討論の発表ディスカッションなどを通して、生徒に主体的に参加してもらうことで、次回以降の授業への生徒の関心へと繋がります。
倫理という科目の捉え方、考え方、高校生が学ぶ意義など、授業を行う前提の部分を先生はどうお考えですか。
先哲達や、現代社会の問題(安楽死やネット社会など)を通して、「人間の在り方(価値判断)」を「考える」ことに意義があると思います。そしてそこで得た価値を、自らの日常に反映し、人間社会の深化と創造に関与する主体的な人間像を育む事にあると思います。従って、ソクラテス・メソッドやレビューシートなどを用いて、「思考する授業づくり」が必要になると思います。是非、今回のセミナーの内容を授業に生かしてください。
生徒にセンター倫理の学習方法をどのようにアドバイスしたらよいのでしょうか。ヒントをいただきたいです。
まず、過去問を解くこと・解けるようになることの大切さをアドバイスしてください。参考書を読むことや、ノートをつくることよりも、過去問(特にリード文も含めて)に向き合いながら、正誤のポイントや、思想の概略をつかむことをアドバイスするとよいでしょう。概念用語と具体例の関係については、この方法がベストです。
倫理を教える際、生徒から「先生はどう考えますか」と逆に尋ねられることに戸惑いを感じていました。このようなケースでは先生はどう対応されますか。
個人的見解については、職員室などで個別的に対応することが望ましいと思います。また授業中において私見を述べる際は、あくまでも「私見であること」を明確にした上で述べることが大切です。そして私見に対する反対意見についても、できるだけ詳しく(私見と同分量の時間・質で)触れていくことが肝要であると思います。


佐々木和彦
英語(記述)
【8/3(日)実施】

読解において未知の単語の意味を生徒に推測させるには、どのような方法が有効だとお考えですか。
未知の単語の推測は、テキストの中で練習させるのがよいでしょう。そのためには、教える側がテキストの中で推測させるのに適した単語を選択することが重要です。ご存じのように、単語の中には、論理的に推測可能なものと、そうでないものがあります。したがって、未知の単語の意味を生徒に推測させる場合、次の条件を満たした単語を選ぶことが大切です。(1)前後の置換、具体例、対比、因果関係により推測可能な単語を選ぶこと。(2)推測の根拠となる部分が、生徒がわかるはずの表現であること。この2つの条件を満たした単語かどうかを判断する目を、教える側が持つことが重要だと思います。
先生が日頃「英語力を磨くためにされていること」を教えてください。
とかく受験問題の研究に時間をとられがちですが、英字新聞、雑誌、小説など、様々なタイプ、分野の英文を多く読むようにしています。その場合、単に英文の読書を楽しむだけでなく、日頃教えている読み方や、知識が生きた英文で通用することを確認しながら読んでいます。もし、生きた英文の中で、日頃教えている読み方や、知識が通用しないような場合には、その読み方や知識をもう一度検討し、実際の英文に通用するように修正を重ねています。いくら辞書や参考書に載っていることであっても、現実の英文に合わない場合は、なるべく、英語の現状に合うような方法や知識に修正しようと心がけています。
授業準備に関してはどのくらいの時間をかけ、どのようなことを行っておられますか。
準備の時間は、当然、テキストにより異なりますのではっきりしたことは言えません。連続性があるレギュラーの授業なら、1つのテキストに対して、10分から2時間くらい、連続性がない1回限りのセミナーの場合は、5,6時間かける場合もあります。本文の意味や答えの予習をするというよりは、どこの部分でどのような知識や方法論をどのように提示しようかというイメージトレーニングに主に時間を割いています。ですから、普段受講していない生徒に対して講義を行う1回限りのセミナーの場合には、より綿密なイメージトレーニングをしますので、長い時間予習することがあります。
英作文について、学年を経るごとに身につけておきたい目安(高1生では○○まで、高2生では△△まで)などがあれば教えてください。
学年ごとの目安ではありませんが、早い時期に定着させておくべきことがあります。作文で絶対使うことになる名詞と動詞の形に対する基礎知識です。かなり優秀な生徒でも、英語の作文をさせると、名詞や動詞の形がいい加減な場合が多いです。減点法をとると、名詞と動詞の形の減点だけで、0点になってしまうような解答を多く見かけます。難しい表現は後でも詰め込むことはできるので、まず、名詞と動詞の形について徹底して指導すべきだと思います。具体的には、(1)名詞の可算・不可算の判別 (2)a+単数名詞、the+単数名詞、冠詞なし複数名詞、the+複数名詞の意味の違い (3)動詞の時制の選択、などです。(1)の可算・不可算の判別は教える側も判断が難しい場合がありますが、原則的な判別の仕方は教えておく必要があると思います。
定期考査では得点できるが、模試では得点できない生徒に対してどのようなアドバイスや指導を行ったらよいのでしょうか。
定期考査では得点できるが、模試では得点できないということは、応用力が身についていないということでしょう。先生ご自身もお気づきのように、そのような生徒は、単に、授業の内容を丸暗記しているだけなのでしょう。英語学習に暗記は重要ですが、暗記したものをアウトプットする場、暗記したものを用いて思考する場を作らないと、暗記した知識が使える道具にはなりません。実際にどのような授業をなされているのかわかりませんので、はっきりしたことは言えませんが、教えた知識を使って考えさせるような補助教材を作ったり、小テストを行ってみてはどうでしょう。


藤田 健司
理系数学
【8/3(日)実施】

問題集を解かせて、これを解説しても生徒の力がついているように感じられません。受験学年の演習授業において、効果的な実践法を教えてください。
問題のレベルに応じて問題の提示の仕方および学習のさせ方を変えることが重要です。1)(入試の)基礎〜標準レベルでは、幅広くたくさんの問題を解かせることがポイントで、必然的に提示する(演習させる)問題数は多くなりますが、解答時間はあまりかからないので、50分で3(〜4)問は解説できると思います。その際、あまりに丁寧な解説をしすぎて公式・計算を書きすぎると、生徒は板書を写すだけで自分で考えなくなり、また扱う問題量が減ってしまうので注意が必要です。 2)(入試の)標準〜発展レベルでは、良問を生徒にじっくり考えさせることが重要で、その意味から提示する問題の選択が非常に大きな意味をもちます。生徒に考えさせながら授業することも重要で、解説は必然的に丁寧になるので50分で2問程度が適当であると思われます。1)、2)の両方とも、授業後に生徒にどのようにして復習させるかを十分に考えておく必要があります。
基礎力はあるのに応用力がない生徒がいます。こうした生徒を伸ばす方法として、先生が成功された例などはございますか。
1)授業の導入段階では、基本事項を頭ごなしに提示するのではなく、公式の意味(抽象的な証明をすることではない)や解法の必然性(自然さ)を理解させることが重要です。応用力のない生徒は自分で考えずに内容を頭ごなしに教わってきていることが多く、公式や基本解法にあてはめて解くことが問題解法であるという錯覚を起こしています。 2)基礎力をつける段階では、「自力で解けない→解答・解説を見て公式・解法を理解する→自力で解けるまで繰り返し解く」の流れでいいのですが、この方法を難度の高い問題にも持ち込んでいる生徒が多いのです。難度の高い問題には、自分で考える・工夫する要素が入っていることが多いため、上の形では頻出系にしか対応できません。自分の力だけで何とかして答えにたどり着かせることが大切で、授業では生徒たちが行き詰まったポイントを解説して解答は言わずに続きは生徒に自分で解かせることも一つの方法でしょう。
日々の授業の中で、受験をどのように意識させながら初学者に教えることが効果的だとお考えですか。
「試験に出るから」「入試で重要だから」を連呼する授業を見たことがありますが、それでは受験を意識づけるというよりも、生徒に学習を強制させているように聞こえます。あるテーマを初めて扱うときに、生徒に受験を意識させることは実際には難しいと思いますので、教える側が「受験を意識した授業」を展開することが重要ではないでしょうか。「受験を意識した授業」というのは、いきなり高度なレベルまで教えるとか説明をとばして進度を速くするということではなく、公式や定理はその意味と成り立ちを生徒に考えさせる(必ずしも抽象的な証明をさせる必要はありません)、学力の高い生徒であれば公式・解法を発見させるなどです。受験を意識するということは、生徒自らが考える力を養うということではないかと考えています。
センター試験対策として、解答スピードを上げるためにはどのような指導が効果的でしょうか。
もちろん計算スピードを上げる(書く量を減らして頭の中で計算を追えるようにする)、計算の煩雑さを見抜いて解法を変えるなどもありますが、「時間が足らない」と嘆く生徒は、ほとんどの場合、「すべての問題を解こうとして時間が足らない」という意味で言っています。センター試験は満点を取る必要はありません。生徒の志望校・志望学部に応じてセンター試験で取るべき点数(最低限取らなければならない点数)が異なりますが、そのことを生徒に意識させて、与えられた時間内で必要な得点をとるために、どのような順にどの部分まで解答していけばよいのかを指導することが大切なのではないでしょうか。ただし、このような指導は生徒の実力がついた本番が近づいた時期でないと意味がありませんので、それまでは時間を気にせず、「時間があれば必要な点数が取れるか?」をテーマにして指導されるとよいと思います。まず、解けるようになることが前提です。
新課程入試対策として、生徒に指導する上で、気を付けていることなどがあれば教えてください。
現役生と浪人生の場合でかなり変わってきます。浪人生の場合は、入試科目そのものが変わってくるわけですから、出題範囲や旧課程で受けるべきか新課程の内容を学習すべきか等について注意しなければいけないことが多いのですが、現役生の場合には学校で学んだ範囲が出題されるわけですから基本的には問題ありません。ただ、数学Aの整数の分野だけは注意が必要です。旧課程では教科書できちんと取り扱われていなかったにもかかわらず、一部には本格的な問題も出題されていました(ユークリッドの互除法も出題されています)。教科書で扱うことになり、内容が易しくなることは考えにくいですから、どの程度まで本格的な問題が出題されるようになるかが難しいところです。受験は他人との競争という部分がありますので、その生徒が志望する大学・学部の他の受験生がどの程度まで学習してくるかを考慮して指導されるとよいのではないでしょうか。


望月  光
古文・漢文
【8/3(日)実施】

「古文を勉強しようと思うのですが何からやればいいですか?」という質問を生徒から受けることがあります。生徒の学年によっても異なると思いますが、先生ならばどうお答えになりますか。教員間でも「助動詞が一番重要だ」「古文は単語だ」など様々な意見があります。
「何からやればいいですか?」。やはり、どこの生徒も同じような質問をするものなのですね。私の場合は、「まず単語をやってください」と指導するようにしています。単語ならどんな学力の子でも自力で取り組みやすいですし、一冊終われば自信もつくだろうと思うからです。また、理系の子にはマンガをすすめることもあります。ただ読めというのでは本人にも具体的にどう効果があるかわかりませんので、マンガを読む前に2013年のセンター試験『松陰中納言物語』などを解かせておきます(答え合わせはしないでそのままにしておいてもらいます)。マンガを読んだあとでもう一度同じ問題をやってもらうと、「あ、この話知ってるわ!」ということで、同じ文章がずいぶん読みやすく感じられ、得点も上昇。そうなると、もうちょっと踏み込んで勉強をすすめてみるかという気にもなるようです。文法はそういう気持ちになったときにやってもらうと効果があがるような気がします。
古典作品の背景や時代状況などは、説明が多すぎてもなかなか授業が進まなくなってしまいます。古典常識についてはどのように指導されているのでしょうか。
ほんとうに!古典常識の知識は不可欠ですけれども、やりすぎても授業が進みませんし、加減がむずかしい項目ですね。わたくしはいつも入試問題を例にあげ、「こう出るから、こんな知識が必要なんだよ」と、雑談にきこえないように気をつけて話をすすめることにしています。また、伝えたい事柄は、辞書や参考書そのままではなく、自分の言葉で簡潔にまとめるようつとめています。正しいことを、おもしろく伝えるのはむずかしく、「これでいいのか」と思いながらですが・・・。
漢文に苦手意識のある生徒が多いように感じます。導入期の指導について、何かアドバイスをいただけますか。
漢文ができないとか、好きになれないという子は、理系よりも文系に多いような気がします。私のまわりはたまたまそうだったのでしょうか。以前漢文が苦手でどうにもならないという子が相談に来た時には、昔ながらの素読をさせてみました。漢文に苦手意識のある生徒の場合、「句法・句法」と責めたてるより、そういうのんびりした方法の方が効果的なこともあるように思います。題材は『長恨歌』や『論語』など、若い人にも興味をもってもらえそうなものを選びました。『論語』は有名なところをやらせるのではなく、短くて現代の若者にも受け入れられそうなことばを選んで教材にしました。「いいことばだな」と思ってくれた場合は、勉強が少しずつ楽しくなるようです。
古典の楽しさ、奥深さを生徒に向けて伝えていきたいと考えています。このためのヒント等はございますか。
古典の楽しさ、奥深さを伝える。むずかしいことですね。まず教える私自信が「おもしろい、楽しい」と感じていなければ、生徒にも古典のすばらしさは伝わらないと思い、日常、現代小説を読むのと同じように日中の古典を読むようつとめています。文楽・歌舞伎・地唄舞なども見ますが、それが授業に役立っているのかどうかはわかりません。ただひとつ確かなことは、本人が芯から感動していることなら、生徒も割合楽しそうにきいてくれるということです。感動していると、授業でいおうと思わなくても、自然に話に出てしまうようで、近ごろはあまり意識的にならず、そんなふうに自然なかたちで伝えられたらいいなと思っています。
入試対策の演習を行う際に、教材を選ぶ基準を教えていただければと思います。
まず、センター試験対策。これは、いきなり過去問ではなく、最初は私大の問題のなかから易しくて読みやすいものを選んでいます。授業時間が限られていますので、消化不良になるような長さのものは選ばないようにしています。センターが長いから、基礎の読解演習も長いものを使う方がいいという意見もありますが、授業がわからないと生徒は勉強をしてくれなくなるので、やはり適度な長さのものがいいのではないかと思っています。私大対策は、中堅大から難関大の順に過去問を読ませていきます。私大の場合は、同じ文章が出ることも期待して、いわゆる「頻出古文」をたくさん読んでもらうようにしています。国公立大学対策は、一学期には『源氏物語』を中心にした物語文学を。二学期以降は、軍記物・仏教説話・歌論・俳文・国学者の文章など、慣れていないと読みにくいものにはひと通り目を通してもらうよう留意しています。


畠山  創
政治・経済
【8/3(日)実施】

「一方向的な授業」ではなく「対話型授業」を学校で推奨・実施していますが、先生はこのことについてどのようにお考えですか。
積極的に行われることが望ましいと思います。特に「民主主義」や「平和主義」、「計算問題」、「為替理論」といった概念を理解する場合に有効です。セミナーの中でも触れたように、生徒に二択の問題を提示して、その理由を簡単に述べてもらう。その後教員が授業テーマと繋げていく。このプロセスを授業内に取り入れるだけでも、生徒の問題意識を高めることができます。授業を共に創っているという共感が、教室の中に生まれ、生徒の主体性が育まれるのではと考えます。
政経の教科書の活用の仕方についてお聞きしたいです。先生が高校で授業されるとしたら、教科書をどのように活用して受験指導をされますか。
まず、プリントなどはあらかじめ全範囲を配ることができません。従って教科書は予習が必要な分野、特に理論が伴う分野と歴史的事実の流れをつかむ必要がある分野の予習用として、当該範囲の通読を生徒に求めてください。初めて用語を見るのではなく、あらかじめ店のメニューを知るような形で、読んでくること。必要に応じて、指示用語を調べてくることを求めましょう。
プリントや板書を作る上で心掛けている点(空欄の決め方など)についてお聞きしたいです。
まず、用語、正式名称、年号といった、外見情報ばかりを空欄にしないでください。正誤のポイントとなる「増減情報」、「ある/なし」といった、説明部分に重点を置いてください。もちろん、基本用語、出題頻度が高い用語、センターの下線が引かれる用語については、書かせると良いでしょう。空欄を多く作りすぎると、生徒は講義に集中しなくなり、用語を埋める「作業」に気を取られがちです。講義を聴いた上で生まれる思考力を育む教材を目指しましょう。
抽象的な概念をどう生徒に理解させるかのヒントをいただければと思います。
まず、新聞の一面などの、学習項目に沿った具体的ニュースを紹介してください。また、経済においては、具体的なものや、実際のデータをスクリーンなどに投影して(日本の借金時計など)、動きを見せていくと良いと思います。特に経済分野理解には、具体例の引き出しの多さが決め手になります。雑貨屋や電車の中などくまなく観て、素材を探してください。生徒が共感できる素材を吟味しましょう。
単元を全て終わらせてから問題演習すべきか、終わらせる前に演習も行わせるべきかについて悩んでいます。どのように行うのが有効とお考えでしょうか。
両方です。まず、計算や概念の理解分野、特に「国民所得」、「信用創造」、「比較生産費説」、「国際収支」、「為替理論」、「ドント式」等については、その都度演習を行います。その他は、単元ごとが望ましいと考えます。また演習は多くの問題に触れることで、生徒も理解を深めていきます。従って、特にセンター試験の「正誤問題」を中心に行うと効率が良いと思います。演習を通して、何を学習しているのか。学習したのかが明確化できると思います。