HOME > 高校支援・教員研修 > 教員研修(セミナー) > 2018夏期「授業法研究ワンデイセミナー」質疑応答集

2018夏期「授業法研究ワンデイセミナー」質疑応答集

2018夏期「授業法研究ワンデイセミナー」
受講者から出た質問に担当講師が答える「質疑応答集」を公開!

2018年夏期 授業法研究ワンデイセミナーの中で、受講者の皆様からいただいたご質問に対して、担当講師がお答えします。共通の疑問を持った現場の先生方に広く共有いただければ幸甚です。
※いただいた全てのご質問にはお答えできませんが、どうかご了承ください。

本部校出講日 科目 担当講師
7/28(土) 生物 大町 尚史
倫理政経 蔭山 克秀
小論文 青木 邦容
7/29(日) 化学 藤原 康雄
物理 稲垣 満
地理 宮路 秀作
8/4(土) 英語(1) 富田 一彦
文系数学 斎藤 裕介
現代文 湯木 知史
日本史 重野 陽二郎
8/5(日) 英語(2) 福崎 伍郎
理系数学 湯浅 弘一
古文×漢文 梅澤 聖京
北澤 紘一
世界史 佐藤 幸夫

※準備のできたものから、順次掲載を行っております。
現在準備中の講座につきましては、今しばらくお待ちください。

2018夏期 授業法研究ワンデイセミナー「質疑応答集」


大町 尚史
生物
【7/28(土)実施】

偏差値50前後の生徒を教えています。その生徒たちに入試問題はハードルが高すぎると、個人的に考えています。どうしたら良いものか模索中です。何かアドバイスをいただけますか。
ご指摘の通り,生物の問題は最新の知見が出題され,相当難しくなっています。とはいえ,少しずつ思考力を鍛えることは可能です。毎回の授業で,知識を伝えるだけでなく,なぜそうなるのか,どうしてそれが生物にとって適応的なのか,どのようにある内容を実証できるかなどを考えさせましょう。毎年4月,予備校での授業が開講すると,「生物って暗記科目だと思っていました。こんなに頭を使うとは,思ってもみませんでした。もう頭がクタクタです」などの声を多く聞きます。おそらく,これまで暗記中心の授業を受けてきた影響だと思われます。そのような授業から,是非脱却してください。
新テストに向けての対応で、新たに何か有効な方法があれば教えてください。
知識を伝えるだけでなく,その知識を活用するよう生徒を助けてください。資料やデータをもとに,どのような仮説を立てることができるでしょうか。また,その仮説を実証するために,どのような実験や手法を活用しますか。生徒たちと共に推論しましょう。新テストでは,数的処理やグラフ化する能力も試されます。そのような問題を定期テストに織り込むことは重要です。加えて,プレテストの内容をみる限り,膨大な実験考察型問題や計算問題,重要な生物学的概念を応用する問題が出題されます。解答のスピードが遅いと,全く対応できません。速く解く訓練が不可欠です。
私自身が苦手なPCRやハーディ・ワインベルグの部分は、生徒もよく質問してきます。どうすれば効果的に伝えられるでしょうか。
PCR法やハーディ・ワインベルグの法則などは,入試で頻出なテーマです。一度理解できれば,型通りの解法がほぼ可能であり,生徒から度々質問される分野ではありません。おそらく,先生ご自身の苦手意識から授業で十分に説明できていないと推測されます。どうぞ数年分の「全国大学入試問題正解」(旺文社)を利用して,集中的にこの分野の問題を解き,理解を深めてください。巻末の索引を利用すれば,該当する問題をすぐに見つけることができます。
遺伝を授業中でどう扱うかが悩みどころです。何かヒントをいただけますか。
遺伝の計算は確率を基本としています。まず,受精に関与する精子および卵の遺伝子頻度を十分に理解させることが肝心です。例えば,p・AA+2q・Aa+r・aaの集団の作る配偶子の遺伝子頻度は,{(p+q)/(p+2q+r)}A+{(q+r)/(p+2q+r)}a となります。そして,この式を二乗して展開したものが,次世代の遺伝子型頻度です。生徒はこのことを理解しているでしょうか。基礎を理解できていない生徒が大変多くいます。どうぞ,このような点からしっかりと教えてください。
流行している分野・傾向の入試問題への対応は、どうすればよいでしょうか。
「全国大学入試問題正解」(旺文社)を活用して,頻出な出題テーマや新傾向問題,興味深い知見を扱った問題などを把握できます。本の巻頭で,その年の傾向と対策について解説されます。是非とも確認しておきたい問題はどれか,なぜその問題が優れているのかも示されます。巻頭言で紹介された問題を毎年解くことで,効率よく入試の傾向や流行を把握し,生徒指導に役立てている先生方は少なくありません。どうぞ数年分の巻頭言をお読みになり,ご活用ください。


蔭山 克秀
倫理政経
【7/28(土)実施】

2学期の授業でセンター試験過去問演習と解説を行う予定です。具体的にどのような流れで行うのが良いでしょうか。
まずは「習った内容がどのように出題されるか」を知ってもらうことが重要なので、生徒にはあらかじめ単元の復習をしてきてもらうか、あるいはその単元を教えた後、その単元に関する問題だけを扱うのがいいと思います。センター過去問解説は、思っているより時間がかかりますので、問題数は2問か3問ぐらいを厳選して、演習よりも解説主眼で指導してあげましょう。ちなみに私の授業では、センター過去問は90分解説のみの授業で、問題数は8~10問ぐらいです。
勤務校では高2で倫理、高3で政経を設置しています。特に政経は2単位、2学期間で全ての範囲を扱うので進め方に苦慮しています。生徒たちに高2のうちにある程度、政経の予習をするようアドバイスした方が良いでしょうか?もし予習を勧めるのであればどのような内容を勉強させれば良いでしょうか?
公民科目は主要科目と比べて扱いが軽いため、本当に与えられる時間が少なくて大変ですよね。そしてそのせいで、生徒たちの意識も低いのが現実です。だから「2年のうちに政経も予習させて、それを土台に3年で教える内容を減らす」ような進め方は難しいと思います。それよりも「教えないとわからない内容」と「プリント配布で見ておいてもらう内容」を分け、授業は前者だけに集中して取り組む方がよいと思います。ただしこの形は、「見ればわかるプリントを作る」ことが大前提なので、プリント作成の技量が相当問われます。なので、くれぐれも新聞記事のコピー配布だけで教えたことにしないよう気をつけてください。
来年度のセンター倫理・政経で新テストを踏まえたような新傾向の問題は出題されるでしょうか。また出題されるとしたらどのような問題になりそうでしょうか?
資料問題や読解問題、あるいは歴史や地理の背景知識を前提とする問題が多少出されるのではと考えております。私が注意を要すると思っているポイントは、現状「多面的なものの見方」「社会参画に必要な知識」「そのための課題追究学習」ですので、なるべくその辺を意識して講義するようにしています。とはいえ、そこまで教える時間は与えられていないので、他科目範囲については「資料集のこういう箇所を見ておくように」といった指示にとどまっているのが現状です。
最近のセンター試験では単なる暗記では、太刀打ちできない工夫がなされているように感じます。思想家の原典資料や生徒にとって初見であろう資料を題材とした出題では地力がなくては正解を選択できません。先生はどのような対策をしていますか?
まずは技術的な面ですね。つまり「知識で解ける問題から、必ず先に片づけろ。時間が余れば、最後にまとめて読解系をやれ」という指示です。幸いセンターは配点にあまりムラがないので、まずは取れる所を確実に拾ってもらいます。その上で読解系対策として、まずは資料集を気分転換用の読み物として習慣づけるよう指示しています。解き方に関しては、「まずは習った知識で対処。それが無理なら消去法。それが無理なら読解すれば解けるはず」と信じさせて解かせています。初見の思想家が増えてきたからといって、こちらが不安になってマニアックな知識を次々教える指導は、正しいとは思いません。単にこちらの不安を生徒に伝染させるだけになると思います。
私の学校に倫理の授業は無いのですが、センター試験で倫理政経を選択する生徒がいます。そのような生徒に倫理の部分を効率よく教えたいのですが、一番のポイントは何でしょうか。ちなみに90分×10回分の課外講習の時間は用意されています。
倫理とは「思想家の頭の中を覗く」ような科目なので、政経とはまるで違うアプローチが必要だということをわかってもらうことが大切だと思います。つまり、政経みたいに「俯瞰して客観的に見る」のではなく、ある程度思想家とシンクロするぐらいの意識で「主観的にも見る」ということです。それと同時に、時代背景や因果関係が相当重要だとわからせてください。後世に残る力強い思想は、「時代の必要性」から生まれるものです。ですから、先生の方では、「主要な思想の時代背景+思想のだいたいの内容(本当に大ざっぱでいい)」をプリントにまとめ、授業前に渡しておくのがいいと思います。


青木 邦容
小論文
【7/28(土)実施】

小論文の指導=添削だと生徒が考えているので、生徒が個別に持ってくる原稿が多く、本来の授業準備に割ける時間が減らされてしまいます。かといって添削を断ることも出来ず困っています。
これは私も困っています(笑)ただ生徒の立場からすると、やはり添削は必要だと思います。大事なのはその「仕方」です。生徒の答案を細かに添削してもそれを活かしきれない生徒が大半なので、昔ながらの細かな添削はほとんど無意味です。生徒は添削の「結果」=「評価の良し悪し」だけしか見ない傾向にあるからです。ではどうすれば良いのかというと、まずどのような問題においても大切だと思われる項目を記した添削基準のテンプレートを作ります(お渡ししたテキストの付録を参考にして下さい)。それを生徒に配布し、その基準を意識して書くように指導します。生徒が答案を持ってきたら、その答案にどの基準を満たしていないか、項目の番号を書き込みます。後は口頭で「どうすれば良かったか」、「今後どのような学習を続ければ良いか」などをアドバイスします。この方法だと短時間で添削指導ができる上に、生徒も自分の弱点を具体的に把握でき、次からどうすれば良いかという学習プランも立てやすくなります。あと補足ですが、教員間でどの教科の人間がどのように(どの程度)採点するかというコンセンサスを取っておくことも大事だと思います。「あの先生は採点してくれるのに、この先生は見てくれない」といった印象を生徒に与えてしまったことを契機に、教員間で無用な確執が生じたり、特定の教員が、場当たり的な採点をして逆に生徒を混乱させることになるのを防止するためです。
教員間で小論文観や小論文の指導観がずれており困っています。何かアドバイスを頂けませんか。
特定の先生、しかも「論文」とはほど遠い教科担当の先生が、論文指導をするために、普段から論文指導を行っている先生が困っているというお話をよく耳にします。これは質問1でもお答えしましたが、まず教員間で「どの教科の人間」が「どのように(どの程度)採点するか」というコンセンサスを取っておくことが重要です。また論文指導のポイントを担当教員間で確認する機会(研究会)を設ける、あるいはまとまらない場合は外部の人間の研修(弊校が行っているようなもの)を担当教員全員が受講する機会を設け、指導のポイントや方法を統一することも重要でしょう。さらに教員で「論文研究会」のような組織を作り、定期的に意見交換をしたり、仕事を分担するという手もあるかと思います。また日々の業務が御多忙だと拝察されるのを考慮しますと、1年の内に何回かだけ「論文指導週間」を作り、その期間中に必ず添削希望者は答案を提出するように指導し、それ以外の期間は受け付けないという認識を徹底することで、普段は論文の添削作業から解放されることも可能だと考えます(しかも生徒自身にも学習計画の重要性を学ばせることができる。生徒は「いつでも見てくれる」と思うと、結局、論文学習を後回しにする傾向があります)。
志望理由書の添削のポイントは何でしょうか?
志望理由書のポイントです。暗記法は以下の通り。
(ラップ調で読んで下さい)期待~♪将来~♪どうしたい~♪なぜ、なに、貴学~♪生活研究~♪ライフ~~~~~♪イエ~イ♪
①「他にも大学あるのになぜうちなの?」⇒「なぜ」「貴」
②「なんでこの学部(学科)選んだの?」⇒「なぜ」「学」
③「何ついてどんな研究しようと思っているの?」⇒「なに」「研究」
④「大学生活入ったら勉強以外にしたいことある?」⇒「どうしたい」「生活」
⑤「うちの大学に期待していること聞かせてちょうだい」⇒「期待」
⑥「うちの大学卒業後、どのように社会で活躍したい、社会に貢献したい?お金持ちになることや権力を支配する以外に人生目標ある?」⇒「将来」「ライフ」
可能な限り(字数の関係もあるので)、以上の項目を盛り込みましょう。①②③は必須。ちなみに大学のパンフレットを読み込んで、要約したものは不可です。(例)貴校では〇〇カリキュラムが充実しており、とても魅力的です・・・・・・等。あと反則技ですが、他校のパンフレットに時々、他には見られない素晴らしい内容が見られたりするので、何も思い浮かばない時は志望校のパンフレットではなく、他校のパンフレット数冊を読み込んで、大学が欲する人物像のイメージをつかみましょう。
生徒に小論文の勉強法を相談された時に、どのように答えれば良いでしょうか?&小論文対策を普段の授業に組み込み、受験に必要/不要に関わらず、小論文で必要となる思考力や表現力を身に付けさせる方法はないでしょうか?&思考力に乏しく、小論文を書けない生徒がいます。どのように指導すれば良いでしょうか。
逆説的な回答ですが、まず「小論文」を意識させないことが重要です。「小論文」という言葉でいわゆる「現代文」と切り離してしまうと、生徒は「別の難しい教科」「現代文とは異なる勉強方法が必要な特殊な教科」という印象を抱いてしまいがちです。「小論文」では課題文や設問の内容や意図を把握しているかどうか、筆者の主張をまとめられているかどうかが「まず採点対象」となります。巷の参考書や問題集の解答例や解説を見ていると、大学の採点基準から乖離したものが多数散見されます。そこでは「大学の先生に好印象を持ってもらうために課題文の筆者の考えには必ず賛成しろ」「世間の認識から外れるような考えを書いてはいけない」「入試なので必ず解答はある。したがってテーマ毎に正しい解答内容を暗記するように(といって自分の解答を押し付ける)」―といったような完全に誤った内容が記されていますが、例えばこういう書籍を基に指導すると生徒の学力は逆に合格答案から離れて行くのと同じように、小論文を「何か特殊なもの」と生徒に印象づけるのは避けるべきです。したがって普段の「現代文」の講義や社会系の講義の際に、教科書あるいは先生方が用意された資料に基づいて、文章をまとめたり、あることがらの原因や理由を短くまとめたり、といったトレーニングを10~20分程度するということを講義内に導入するようにご検討下さい。またとにかく現代文が苦手、論理的思考力がまだ身に付いていない、という生徒を指導しなければならない時は、選ぶ題材をとにかく「身近な」ものにして、「普段考えなかったことを考えさせる(問題意識を持たせる)」ことを繰り返すことが重要です。(例1)学校と刑務所の共通点と相違点を200字程度で述べよ。(例2)ウルトラマンなどのヒーローは命の大切さを説くのに、なぜ敵対する怪獣や宇宙人の命を平気で奪うのか?200字程度で述べよ―こういう問題を解かせます(笑)。国語嫌いでも教員がうまく誘導すれば、色々考えるようになります。
小論文は知識が無いと書けないため、生徒には志望学部の関連分野の書籍で知識を補うように指導しているが、入試では全く関連のない題材が出題されることもある。そのようなとき、どのようにして論述するべきか。アドバイスをいただけますか。
たしかに小論文にある程度知識は必要ですが、その知識は決して「専門的」なものである必要はありません。最も高校の授業内容から乖離していると思われる「医系小論文」でさえ、身につけるべき知識は非常に限定された範囲にとどまります。小論文の考え方の基本は「演繹」なので、どうしても特定の分野に関わる問題が出た際には「この分野では〇〇については□□とされているので、ここから設問できいていることについては△△であると考えられる」というように、まずは考えなければなりません。したがって「〇〇については□□とされている」の箇所がいわゆる「普遍性、一般性」を持つルール的なものになるので、たしかにこれを「知識」として身につけなければならない場合も多々あります。しかし、それは学校の教科書や資料集、あるいは日々新聞などに目を通しておけば身に付きます。またどうしても特定分野の知識が欲しいという場合は、例えば医系論文の場合、生命倫理の知識は必須となりますが、「マンガで学ぶ生命倫理」(化学同人刊)のような、生徒が自力で読み進むことのできる簡単な書籍を薦めて、短期間で学問分野のアウトラインをつかませる方法があります。そして準備していた知識系統とは関連がなさそうな問題が出たとき(基本的には大学出題傾向を見れば、そういう場合があるかどうかは分かりますが)の対策として、普段から同じ問題について「知識を使って書いた場合」と「知識を使わずに書いた場合」、二通りの答案を書くトレーニングをおすすめします。また問題が「特定分野の知識が使えるもの」であっても、あえてその専門分野の知識を使わずに書く練習、また「(一見)特定分野の知識が使えないもの」であっても、あえて知識を絡めて書く練習をするーこのような練習も非常に効果的です。これらによってアナロジーの能力が高まり、専門分野の知識や新聞などから得た一般的な情報をうまく応用したり、関連付けたりしながら独自の解答を作成できる能力がつくことが期待できます。


藤原 康雄
化学
【7/29(日)実施】

蒸気圧や浸透圧は生徒が諦めやすい分野で困っています。どうすればよいでしょうか。
蒸気圧は“蒸発平衡時の蒸気の圧力”という表現ではじめに説明してしまうと,気体の問題で説明しにくくなり,それが原因で苦手意識をもってしまうことがあると思います。気体の問題では,“各温度におけるその気体の最大圧力”という説明にしてしまうのも,一つの手かと思われます。また,浸透圧はU字管を使った計算問題を基礎的なものから丁寧に指導するとともに,生物のはどのように扱っているかを見ると,一つのヒントになると思われます。希薄溶液の性質はいわゆる束一的性質として,大学入試では最重要分野の一つといえます。18年京都の共晶完全氷結後の加熱時のグラフ選択などは今度の指導に指針となるのではないでしょうか。今年度のわたくしのオリジナル講座(藤原の化学理論編)でも,固体の溶解度と凝固点降下の融合問題を扱いました。
新課程入試の傾向をどのように予測し、対策を立てていけばよいのでしょうか。
「各単元のスタートまでに今年度のその単元における出題を一通り見て,指導に加える必要があるエッセンスを確認していく」というスタイルが授業準備の理想形での一つであると考えています。予備校の講師であり,また,オリジナルを担当している立場上,時事を常に取り込む努力が必要です。しかし,授業時間に限界があり,「A:必ず教えなければならないもの」+「B:近年出題された注目すべきもの」を常に最大限にしていくことはできません。そこで,Aを可能な限りシンプルにし,また,Bも講習で補う形を取ることになります。センセーショナルな問題を常に取り扱う必要はないと思いますが,受験者が多い大学や国公立大学でいくつも出題が重なった場合,そこには潮流があると考えるべきであると思われます。17年熊本の配向性などは一つの典型例と思われます。
全く化学式が書けない生徒も多く、図や絵を使って説明することが多いです。その際、図や絵の書き方でポイントはありますか。
板書案を何度も書きなおします。その中で,横に時間が経過していく板書にするのか,縦に時間が経過していく板書にするのかをとても重視しています。ケルダール法やヨージメトリーやヨードメトリーはあまり長い作業工程ではなく,また,それぞれの場所で数値を書きこむ必要も少ないので横にします。一方,気体の温度や体積変化,コックの開閉などを行う圧力を中心にした問題では,図に書きこむ数値が多いのでその余白を確保するために縦に展開していくことが多いです。図に数値を書きこむ量が少ないときにはヨコ,多いときにはタテとある程度決めてしまってもいいかもしれません。追伸:化学式が全く書けない場合,単純に単語帳を作ってしまうのがいいかもしれません。一度作成してしまえば,何年でも使いまわしができるので便利です。わたくしもセンター化学基礎の授業ではテキストにつけて授業を行っております。
無機分野で暗記になってしまいがちな生徒がいます。どのような教え方をすればいよいでしょうか。
無機化学分野は暗記になりがちですが,まず,何を覚えるのかを提示してしまうと,目標ができていいのではないでしょうか。例えば「今週はハロゲンです。ハロゲンでは,主に以下の3つが理解のポイントになります。①単体の色と反応性②フッ化水素の特異性③ハロゲン化銀の色と溶解。この三つを意識して授業を聞いてくださいね,でははじめましょう。」と一言添えるだけでも,生徒はもちろん,教員側にも目標設定が明確になりよい流れが作れると思います。また,先に問題をみせてしまって,「説明の中にどんどん答えが出てくるから,解答を考えながら板書も進めていこう」とやっていくもの良いかもしれません。わたくしの授業では,両者を混合した状態で授業を展開しています。また,無理やりにでも簡単な計算問題を入れると,毎回“作業時間”が入ってくるので飽きないのではないでしょうか。
演習は塾でやるものという意識の生徒が多く、どのように演習の意義を生徒たちに見出していけばよいかで悩んでいます。何かヒントをいただけますか。
塾のテキストも受験の全てを網羅していることはないと思います。何年も同じテキストで指導している塾に通っている場合,最新の問題にあたってはいないと思います。また,多人数の一方的な授業形式の場合,論述問題の指導をうけている機会は少ないのではないでしょうか。先生の授業をしっかり受講すると,論述問題に強くなる,最新の入試問題を解かせてもらえる,などのメリットを感じさせれば,十分に意義を見出せると思います。そもそも教員研修にご参加いただいている先生ですから,その向上しようという意識だけでも生徒には大きなメリットです。そこに,塾では受けられない指導をプラスすればよいだけだと思われます。追伸:やみくもに難問にいってしまうのは危険です。それよりは,テキストや問題集の作成時にはじかれてしまうような問題の方がよいと思います。やはり,最新か論述でしょうか。


稲垣 満
物理
【7/29(日)実施】

授業中に問題演習はどのくらい行うべきでしょうか。もしくは授業外で課題として行うべきでしょうか。
僕の場合を例に挙げて話させていただきます。代々木ゼミナールの授業では,週に講義が90分×2コマ。演習授業が90分×1コマ(週2問)となっていますが,国公立医学部や,旧帝大などの上位の学校を目指す生徒,また記述を必要とする学校を受験する生徒の場合,週2問では不足と感じ,希望者には個別に演習課題を出しています。量としては,1週間毎に,その週に学習した単元から2種類のプリントを準備しています。①解答をつけずに途中過程まで書かせて提出させるプリント(週2~3問)②解答をつけて自己採点させるプリント(週3~5問)となっています。①については,提出後添削(時間が作れる限り休み時間にディスカッション)②については,わからない箇所を質問で対応としています。感覚としては①までをこなせば,難関校でも合格ラインに到達できる結果となっています。問題演習の選び方につきましては質問2を参考にして頂ければと思います。
物理の入試問題が長文化、難化する傾向にあり、問題演習の量が合否に大きく影響するように思います。限られた時間内で効率よく演習するポイントをお願いします。
問題演習の量については質問1を参考にして頂けたらと思います。効率よく演習させるポイントについてですが,問題選定の際に,必ずテーマをもたせ,それを事前に伝えておくことが大切です。例えば,計算の簡略化,現象把握,グラフの作図などです。当然,生徒によって志望校が異なるため,解かせたい問題も変わってきます。そのため,全員に解かせたい問題は質問1の①のプリントのほうに出題し,生徒ごとに変える問題については②のプリントに出題し指示を出すという形が良いと思います。自分で問題を選びプリントを作っておくことで,生徒からの質問に対しても素早く対応でき,また,何回も質問対応することで,生徒が悩むポイントがわかり,よい指導ができるようになります。そのうえで,良問が見つかれば差し替えてより良い演習プリントが出来上がっていきます。機会があれば教員研修で演習プリントの作り方をテーマとして取り上げられればと思います。
授業中に上手く生徒を巻き込めません。一人で話しているように感じることがあります。アドバイスをお願いいたします。
一番大事なことは,必ず一人一人の目を見て話すことです。生徒は見られていると認識することで,いやいやでも話を聞く状態を作れます。次に,生徒に「自分でも判る。」と思わせることが重要なポイントになります。一人で話しているように感じる授業展開は,生徒が難しすぎてついていけない場合がほとんどです。その苦手意識をなくすためには,いくつか例があります。まず,「ここまで出来れば大丈夫だよ。」と口に出して最低限の目標ラインを伝えること。次に,生徒に積極的に質問を投げかけ答えさせることです。この時に注意すべきことは,間違った答えでも褒めることです。「そういう切り口もあるか!鋭いな~。でも,ここの考え方が少しちがうよね・・・」とか,「○○大学に受かった先輩も同じ間違え方をしてたよ。物理のセンスあるな!でもね…」という感じです。間違えを恐れず解答できる環境をつくれば,楽しい授業が展開出来るようになると思います。
原子分野の授業について、どのように行えば良いでしょうか?またどこまで教えれば良いでしょうか?効率的に進めるポイントはありますでしょうか。
授業内で原子分野までしっかり扱える余裕のある学校は限られていると思われます。一部難関大学は除きますが,ほとんどの大学では,原子分野の出題頻度はそれほど高くなく,また難易度も教科書レベルの典型問題ばかりというのが現状です。そのため,原子分野は得点を稼ぐ範囲ではなく,差が付けられなければ良いという方針でよいと思います。代表的な現象である,「光電効果」,「コンプトン効果」,「ブラッグの干渉条件」,「X線の発生原理」,「ボーアの水素模型」,「質量欠損とアインシュタインの式」を教科書準拠の問題集レベルがしっかりと解けるようになることを目標として扱いましょう。経験上,一つのテーマについて,何種類もの問題を解かせるのではなく,一つのテーマにつき1種類の問題を何回も繰り返し解かせる方が効果があると感じています。
2物体間でのエネルギー保存則が成り立つことの導入ではどのような説明・問題を扱えば良いでしょうか。
ハイレベルのクラスでは,保存力と非保存力の話から,内力,外力の判断の仕方までしっかりと教えています。しかし標準クラスでは位置エネルギーの概念ですら理解するのがいっぱいいっぱいというのが現状です。そのため標準クラスでは保存力の概念などは後回しにし,まずはしっかりと運動エネルギー,位置エネルギー,力学的エネルギーの区別が出来るようになることを目標に授業を進めています。エネルギー保存則の成立については,まずは熱が発生していないかを考えさせます。「熱が発生する具体的な現象は?」と問いかると,摩擦熱や,人間の体温などという答えが返ってくるので,「だから,摩擦が働いていない場合や人間や機械などで強制的に外力を加えていない場合はエネルギー保存則が成立するんだよ。」と話し,最後に「しっかりと判断したい場合は,保存力や非保存力の知識が必要になってくるから知りたい人は休み時間などにおいで。」と締めています。


宮路 秀作
地理
【7/29(日)実施】

宮路先生が予備校で授業をされる際に、新テストを意識してやっておられることはありますか?
ありません。正直、新テストになっても今のところはほとんど変化はないと考えております。今後、新テストが施行されて傾向が見えてきて初めて対策を立てたいと思っております。新しい制度が始まると、「次はこうなる!」と予想を立てる人がいるものですが、実際にその予想が当たったかどうかは、本人ですら検証しないものです。そのためそういった予想には全く意味がないと考えていますし、安易に予想して他人様を振り回すことは好ましくないと思います。そのため、私はまだ静観しているところです。
工業の分野を教える際に、工業都市などを地図上で確認するだけで、単調になってしまいます。先生はどのように景観を示して授業を展開されますか?
工業立地には、「なぜ、そこに立地することで最大の利益が得られるのか?」という背景があります。これを提示することが最も重要です。ある都市に発達している工業は、具体的には何という企業が活動しているのかを示すと、日常生活との繋がりを感じることができます。生徒は、「これを学ぶと何が役に立つの? 何が面白いの?」といった感覚を持っていますので、そこを満たしてあげることが大事なのではないでしょうか。
さらに自動車に関して説明するときに名古屋港の最大輸出品目が「自動車」であることから、名古屋港の後背地にトヨタ自動車が控えていることを説明するなど、工業だけにとどまらず色々な分野の話に広げて景観を作ってみてはいかがでしょうか。
日頃の教材研究ではどのような資料を使用されますか?
「何を使用して研究すれば良いのか?」という疑問は誰しもあると思いますが、私はいつも「何をゴールに持ってくるか?」を考えます。そのゴールに適正なプロセスをとっていくために何が必要か?によって、どのような資料を使用するかが決まるのだと思います。地理は「雑学の集まり」であると思っています。であれば、基本的に目にするものすべてが資料だと考えています。日頃の生活で見聞きしたことの中から、授業で扱う単元に関連の深い内容を盛り込んで景観を作りだしています。
結局は、授業で扱う単元を利用して何を生徒たちに語るか?ではないでしょうか。
日本地誌をどのように扱えば良いでしょうか?授業時間の関係でなかなか扱えていません。
正直、日本地誌は出題範囲が無限に存在するため、ピンポイントで対策を立てることは難しいと思います。例えば、東京大学のように必ず日本地誌を出題する大学がありますが、毎年出題されているにもかかわらず、出題予想はほとんど不可能です。そのため、日頃よりありとあらゆる分野について、多くの情報を生徒に提供することが重要ではないかと思っています。これは、入試対策だけでなく、自国を知るという意味からも大事ではないでしょうか。
一目で理解させられる教材としてTV番組を生徒に見せております。何か先生オススメの番組はありますでしょうか。
私が生徒に「この番組を観ると良いよ!」と進めている番組は、「日立 世界ふしぎ発見!」、「テレビ朝日 世界の車窓から」、「テレビ朝日 世界の街道をゆく」、「NHK高校講座地理」、「NHK 10minボックス」、「日テレ 世界の果てまでイッテQ!」などです。昔であれば、「フジテレビ なるほどザワールド」も良い番組でしたね。
しかし最近では、YouTubeに良い動画がたくさんあります。「扇状地の成り立ち」を説明したい場合は、実際に扇状地を作成している動画などがあります。個人的にはドローン映像を撮りためていますので、そちらを生徒に見せることで「一目瞭然」を作りだして、理解を深めさせています。やはり視覚に勝るものはありません。


富田 一彦
英語(1)
【8/4(土)実施】

先生の指導観や教育観に影響を与えた、人物や出来事等あればお伺いしたいです。
最初に非常勤講師として勤めた高校の生徒達がいろいろな意味で私に示唆を与えてくれたと思います。勤務先はいわゆる滑り止め校で、最初は世の中をすねているような態度の生徒が多かったのですが、そういう生徒も(全員ではありません、もちろんです)自分たちが「ダメ」な理由をしっかり見せて、かつその解決策を正しく提示できれば、それぞれに大きく成長してくれる事がわかりましたし、何よりも、具体的にどういう言葉でしゃべるとどういう理解をするのか、ということを教えてくれました。そこでのやり取りから、より良い落とし所を見つけられるようになったと思います。
入試問題の長文の指導のポイントについて、時間が足りない、読み切れないといった悩みを抱えています。訓練法等について何かアドバイスをいただけますか。
私は生徒には「決して速く読もうとしてはいけない」といいます。問題は「正しく」読むことです。ほとんどの学生は読み方が間違っているため、時間がかかるのではなく、いくら時間をかけてもわからない状態にあります。彼らが先に進むのは理解したからではなく、諦めたからです。諦めて適当に考え、そのまま次に行く、これを繰り返しても学習効果も上がりませんし、全く速くもなりません。できの良い生徒は、決して時間が足らないと言わないのですが、それは、「できる」ということは「手がかりを簡単に見つけられる」ということであり、「手がかりが簡単に見つけられ」れば問題は速く解決できて速く進みます。学生たちの問題は常に「手がかりを見つける能力が欠けていること」であって、それを「時間」の問題に矮小化するのは論点のすり替えです。
AIの普及により自動翻訳機の精度も上がり、また安価で購入できる時代が迫っています。英語を教える上でなぜ英語を学ぶのかについてその哲学がこれまで以上に問われる時代になっていると思います。先生は今後、学校教育で英語を学ぶ意義をどう捉えますか?
中等教育の意義は、「ある系の中でそのルールを合理的に使って懸命な結論にたどり着くだけの知性を養うこと」にあると考えます。そのための最右翼が数学ですが、数学は、現実とあまりにもかけ離れているため、そこに「独立した系」を作りやすく、その分単純で簡単です。ところが、外国語は、すでに我々の中に「日本語という系」が存在してしまっているため、単にその系の中に入っていけばいいのではなく、自分が普段無意識に動いている系を意図的に停止して、あえて別の系の中で思考を動かすという点で、要求水準が高く、知的訓練としての意義も大きいと思います。ただ、自分以外の系である外国語の系が複雑だと、なかなかつらいものがあります。英語は綴りと発音の関係以外が極めて単純で抽象化しやすい言語であり、しかも日本語とは相当大きく異なる系なので、そういう学習の素材として最適と考えます。
オールイングリッシュの授業の必要性について、どのようにお考えでしょうか。読解問題などのある程度興味深い内容のものであれば、構造分析も含め日本語で解説をする方が、生徒も自分もしっくりいく気がします。
解説を英語でするのは百害あって一利なしです。我々には日本語という世界に冠たる言語があり、英語で語られるどのような難しい概念も日本語化できるのですから、わざわざ自分にとって不利な道具で勉強する必要は全くありません。ましてや、他教科を英語でやるなどというのはナンセンスの極みです。上の質問にもありますが、これからは大抵のことは機械翻訳でなんとかなると言われています(本当かどうかはいろいろ議論がありますが)。それなら、英語にするのは機械に任せて、日本人は英語圏の人間には理解不能な日本語という言語を使って、より高度な知的世界を築くことを目指すべきだと考えます。極端な話、英語は日本語に自動翻訳できるが、日本語を英語に自動翻訳するのは拒否するような生き方もありかもしれません。その意味では日本語はナバホ語よりもさらに鉄壁です。英語を学習することで日本語を相対化できれば、日本人の日本語力は更に向上できるはずだと考えます。
一定の文法体系を習得した前提ではありますが、所謂「多読」や「音読」について、先生のご意見をお伺いできますか。
たくさん読むのは悪いことではありません。「正確に」読めればですが。日本では、「習うより慣れろ」という言葉がしばしば使われ、困ったことに英語のPractice makes perfectの訳だと誤解されています。英語の方は「練習によって習ったことを定着させろ」と言っているわけですが、日本では「習わなくていいからとにかく慣れろ」になっています。これは個人的には、教える側に能力が不足していることの言い訳でしかないと思います。ですから「速く・たくさん・正確に」読んでいただければ全く問題はございません。


斎藤 裕介
文系数学
【8/4(土)実施】

担当生徒間で学力の差が大きいです。理解度別に対応してあげたいのですが、どうすればよいでしょうか。
数学は、生徒自身にある程度の知識と理解力があれば、たいていの問題は教え方次第で理解させることができると思います。つまり、ただ問題の解説をするのではなく、多少の知識が必要な場面では、その都度公式の確認や簡単な例を挙げるなど苦手な生徒への配慮が必要でしょう。受験生だからといって授業で難しい問題ばかりを扱うのではなく、基本事項や基本的手法が確認できるような例題をいくつかはさみながら徐々にレベルを上げていけばクラス全体の学力の底上げになるのではないでしょうか。
自分の話が中心の授業となってしまい悩んでいます。生徒中心の指導を心がけると今度は進度が遅くなってしまい困っております。
授業において学ぶべき知識や考え方を説明するためには、自分の話が中心になっても何も問題はないと思います。また、生徒中心の指導といっても必ずしも生徒が考える時間を十分にとる必要はなく、クラス全体に問いかけるだけでも十分な場面も多いでしょう。本格的に生徒中心の指導をするのであれば、何よりその生徒たちに十分な学力があることが必要でしょうし、そうであれば進度が遅くなることもないでしょう。
授業で計算過程をどこまで見せるかで悩んでおります。先生はどのようにお考えですか。
授業で計算過程を見せることは、基本的手法の確認や計算のコツを伝えるいい機会です。あたりまえの計算だとしても、生徒によっては適当に行っている場合もよくあるのでその過程は何度でも見せたほうがいいと思います。
2次試験で数学を利用する生徒を担当しています。いつごろからセンター直前対策を行うべきでしょうか。
過去問や予想問題を用いた演習を通じて学べることはいろいろありますが、①センター試験の出題傾向や形式に慣れる②試験時間の感覚をつかむ、の2つが主な収穫でしょう。ただし、この演習が実を結ぶには、いわゆる標準問題がスムーズに解けることが必要不可欠です。また、空欄補充形式の問題に慣れすぎると問題を解くというよりはただ単に空欄を埋めるという作業に近い頭の使い方に偏ってしまい肝心の2次試験に対応するための学力は低下しがちです。以上のことから、センター試験の独自傾向の問題は10月~12月中旬、時間の感覚をつかむための直前対策は12月の後半からくらいがちょうどよいのではないでしょうか。
文系理系でクラス分けをしていない2年生に数ⅡBを教えています。指導の焦点はどこに当てればよいでしょうか。
高校数学の多くの問題は、基本から学力を積み上げていけば文系理系問わず解けるようになります。たとえ受験科目で数学を使わない生徒でも解ければ楽しいという感覚はもっているはずですから、苦手な生徒でもわかるような丁寧な授業を心掛け、伸ばせるだけ伸ばそうという気持ちで指導するのはどうでしょうか。


湯木 知史
現代文
【8/4(土)実施】

現代文が苦手な生徒に発問する場合はどのような工夫ができますか。また正解とは言えない答えが帰ってきた場合どのように切り返せば良いでしょうか。
「現代文が苦手」だという生徒の大半は、読解力が不足しています。したがって、そのような生徒への発問は、本文を生徒自ら読まなければならない方向に誘導するものである必要があります。例えば、形式段落ごとに主題を問うとか、傍線部を構成する抽象的表現を具体的に説明している箇所を問うというものです。また、正解とは言えない答えが帰ってきた場合にも、なぜそれを正解としたのかを本文との関係で生徒に説明させることが必要です。正解でない場合には、必ず説明は行き詰まるので、そこから、本文に目を向けさせながら、正解にたどり着けるような発問を重ねていけば良いと思います。
記述問題の添削依頼が多く、断れないため授業の準備にも影響してしまいます。配点が公開されていない場合も多く、生徒に「これって何点くらいありますか?」と聞かれた時は困ってしまいます。
授業で解答作成のプロセスを解説し、解答例を示した問題に対しては、生徒の丸投げしてきた解答を添削するのではなく、生徒に質問させる(授業を受けての疑問)という形で対応すればよいと思います。例えば、「解答例には含まれない要素を入れたのだが、それは加点されるのか減点されるのか」や「解答例と同じ表現ではないが同じつもりで書いた。得点になるか」というように。また、過去問など、授業で扱ったものではない問題に対しては、時間が十分に確保できない場合であっても、生徒の解答に最も重要なポイントが含まれているか否かの判断は示してあげることが必要だと思います。
生徒の語彙力向上のために、先生が日頃注意している事項などありましたら、ご教示ください。
最近、辞書を引かない生徒が増えています。その傾向は現代文を苦手とする生徒に顕著です。その言葉の意味を説明することができないのに、「見たことがある」というだけで辞書を引かない。黙読しかしないために、読みを知らない漢字でも「何となく意味がわかる」ので調べない。このような生徒には、「辞書を引くように」と言うだけでは駄目です。授業の中で、質問に来た際に、とにかく機会のあるごとに、目についた言葉でいいので、その意味を知っているか、読めるか、と問い、知らない、読めないという場合には、そこで辞書を引かせる、ということを根気よく続けることが必要です。
現代文のセンター指導の時、授業内で解かせて残りの時間に解説という流れで授業を行っていますが、どうしても時間のこともあり、中途半端に終わってしまうことがあります。予習させてから解説のみ50分間という形をとっても中途半端になるので困っています。
最近のセンター試験の現代文の問題は良問です。その良問を制限時間(20分)のもとで生徒に解かせ、直後に教師が解説して済ませるのは大変もったいない使い方です。制限時間のもとで解かせた後、解説の前に、生徒自身が自力で本文を精読し、設問ごとに出題意図の把握する(本文における傍線部の位置づけを確認したり選択肢を分析したりする)時間を確保することが大切です。この作業を通して、読解力が向上すると同時に、センター試験の特徴を知ることができるからです。そこで、ここまで予習という形で準備させ、授業では生徒の誤りやすい箇所に力点をおいて解説すれば、50分で十分に指導できると思います。
生徒からよくテスト勉強の方法を質問されます。自分なりに答えていますが、何かアドバイスがあればいただきたいです。
受験勉強は、大学入試合格という目的のための手段です。したがって、どのような勉強方法が必要かは、その入試が求めていることが何かを生徒自身が知ることが不可欠です。つまり、生徒自身が入試で求められる読解と記述の意味を理解することにあります。そこで、「与えられた文章を読解すること」とは具体的にはどうすることなのか、「設問に対する解答を記述すること」とはどうすることなのかを、授業を通して、具体的に示してあげることが重要だと思います。


重野 陽二郎
日本史
【8/4(土)実施】

先生は授業用のプリントを作る際にどのようなことを意識されていますか?
教材作成に際し,私が念頭に置くことは“生徒にとって,教材がその後の学習に資するもの足りうるかどうか”という点です。授業用の教材の場合,生徒にその教材を入試本番まで活用させるねらいから,下線部設定などを通じて書き込み式にしつつ出来るだけ情報を載せるようにしています。歴史用語については,重要度を分けて掲載し,入試頻度の高いものを出来るだけ掲載して“この教材だけで大丈夫”というものを作成しています。また,史料についても教材に収録し,その都度史料学習が出来るようにしています。ただし,書き込み式の箇所以外に生徒自身の学習用の書き込みスペースを作ることで,模試を受けたり,過去問を解いたりする過程の中で生徒が新たに獲得した知識もそこに書き込めるようにして,情報を集約化できるよう配慮しながら作成しています。
先生はどのくらい時間をかけて教材研究をされますか?またどのような方法で教材研究をされますか?
教材研究は,その講義で扱う内容の中で“これが一番のポイント”となる箇所を設定し,教科書内容を踏まえた上で,史料集・図説資料集を確認しながら講義内容を組み立て,歴史的エピソードを挿入する箇所をいくつか設定した上で,最後は直近の入試問題から講義内容に合致するものを選び出し,具体例として紹介できるよう準備しています。準備の所要時間は相当なものでしたが,板書案など一度確立できれば,あとは経年で微調整を行っていくことで対応可能です。予備校講師駆け出しの頃は寝食を忘れて準備をしたものでした。しかし,どこまでやってもきりがなく,また準備した内容すべてを授業で披露できるわけでもありませんでした。授業直前に見直しを図る程度で授業に臨めるようになったのは私の実感として3~4年経ってからです。
年表を授業中に活用したいと考えています。重野先生であればどのように取り組まれますか?
私が講義で作成・活用している年表は,原則として政治史を中心に,外交史・社会経済史・文化史も記載しているものですが,年表を活用する最も重要な意義は,“時代相(時代の様相,時代の特徴)”を把握することだと考えています。ただし,あらゆる出来事すべてに相関関係が存在するわけではありませんので,歴史をとらえる際に軸となる「時の権力者」がまず誰なのかを明確にした上で,外交史・社会経済史・文化史などの出来事との関連性を考察できるような年表にしています。もっとも,教科書内容すべてを年表式にすることは出来ませんので,主要な出来事(教科書の太字,もしくは図説資料集巻末の年表記載の太字)を年表に落とし込み,時系列での把握が出来るようなものにします。一般的には,政治史や外交史など,変遷がわかるようなテーマ(図説資料集にまとめられているテーマ)を参考に,部分的な年表活用でも十分ではないかと考えております。
先生は問題演習の授業をどのように行いますか。問題のテーマについての講義を含めて行いますか?または解法や解説のみを扱いますか?
代々木ゼミナールでは,「ハイレベル日本史問題演習」「標準日本史問題演習」という演習形式の講座を設置しており,テキストには各講で既出の入試問題より抽出した大問を3~4題掲載しています。授業進行は講師の裁量に委ねられておりますが,私の場合,まず始めにその講に掲載されている大問のうち1~2題をピックアップし,生徒と共に読んでいき,どのような問題なのかを確認・把握します。次に,その問題を解くために必要な知識を獲得してもらうための講義を行います。実際の授業ではこの講義の時間に最も時間を充てます。そして最後に,始めにピックアップした問題に戻り,問題を解いていき,必要に応じ解法や解説も行っていく,という授業進行にしています。また,翌週の授業冒頭で前回内容の復習小テストを実施しています。そもそも日本史は知識の前提がなければ問題演習は不可能ですので,まずは知識習得に時間を充て,その上で問題演習を行い知識定着をはかるようにしております。
日本史に興味のない生徒も担当しています。やる気を引き出すためにどのような働きかけができるでしょうか?
歴史を暗記物と思い嫌う生徒や,歴史に全く興味のない生徒は毎年見かけます。そうした生徒のために,私の場合歴史書などを参考に,出来るだけ歴史の“ストーリーテラー”役に徹し,時には寸劇を交えた授業進行をすることがあります。ねらいとして,少しでも歴史に興味を持ってもらうためです。しかし,こうした授業進行は特殊です。それでも,歴史上の人物の人物像を紹介したり,文化財の特徴を指摘したりするなど,その説明を出来るだけ具体的にすることで,生徒の興味関心を向上させることは可能です。毎年入れ替わる生徒を対象に,平板になりがちな教科書内容にいかに興味を持ってもらうかというのは毎年苦心する所ではありますが,よく知られた出来事を中心に,歴史的な小話をアクセントとして挿入しながらの授業展開は効果的です。小説や映画,テレビ,ネットニュース,新聞など身近な媒体で歴史的な内容のものを題材として,授業内容に関連させていくことも効果的ではないでしょうか。


福崎 伍郎
英語(2)
【8/5(日)実施】

中学英語を指導しておりますが、大学入試制度の変化に授業内容をどう対応させるべきでしょうか。
英語の場合, 大学入試の変化と一言で言っても, ①センター試験の後継となる共通テスト, ②各大学の個別試験, ③資格・認定試験の3つにどう対応するかを分けて考える必要があります。共通テストは, 中学・高校で英語活動に積極的に取り組んでいれば対応できる内容になると予想されているので, 普段の授業をより活性化し充実させれば問題ありません。各大学の個別試験の方は, 中学の段階で意識したり対策を考える必要はあまりないと言えます。資格・認定テストは,英語の4技能の運用力が問われるものですから, 中学のうちから英検などを受検し活用していくことをお薦めします。授業の内容も, 4技能をバランスよく身につけさせることを中心に据え, その達成度を英検などで定期的に測定し, 授業の指導に反映させるというのがよいのではないかと思います。
英文解釈が学校の授業で焦点化されず、生徒が「英語は漠然と理解できればいい」と考えているように感じます。結果的に、生徒は自学自習で英文解釈にも取り組まず、いたずらに長文読解に振り回されています。「訳読授業」に戻ることもできません。どう打開すべきか、先生のお考えをお聞かせください。
先生の仰る「英文解釈」とは, 1文1文を文の構造を考えながら解釈し,必要に応じて和訳をするという「精読」のことだと思いますが, この意味での英文解釈は「時代遅れ」とか「弊害が多い」などとして切り捨てられる傾向があるようです。それに代わって現在主流となっているのが, 生活や学習活動の中で接する機会が多い英文(かなりの長文)を読み, 必要な情報を素早く発見し, 得られた情報を組み合わせて推論をおこなったりする「情報検索・情報処理型長文読解」です。共通テストもこの方向で出題されるでしょうから,普段の授業ではこれをメインにせざるをえません。しかし, このような読解ばかりやっていると,個別試験で求められる論理的で正確な読解力の養成がおろそかになってしまいます。その結果, 共通テストでは点が取れるのに, 個別試験には歯が立たないという生徒がたくさん出てくるおそれがあります。一つの解決策ですが, 教材に出てきた英文の中から, 構文的な学習価値のあるものをいくつか取り上げ, それに類する比較的基礎的な入試問題の英文(短文)の演習をさせ, 英文の分析的な読み方をトレーニングするというやり方はいかがでしょうか。
「英語表現Ⅰ」の授業で教科書の設問に答える前に、文法項目や例文の確認をするのですが、この部分はどうしても講義型で進めてしまい、生徒が受け身になっている気がします。知識のインプットがなければ問題は解くことができないとは思うのですが、生徒が積極的に吸収できる方法はないか模索しています。
時代の流れは, all English, active learningの活動型授業となっていますが, 個人的には日本語で説明した方が深く理解できる場面もあるし, 講義型の授業の方が効率よく進められる場面もあると考えています。先生のおっしゃっている文法項目や例文の確認などは, 日本語を使った講義型の授業でおこなっても, その方が生徒の理解が深まり授業の進め方が効率化できるのであれば, それはそれでよいのではないでしょうか。その上で, 生徒が受け身にならない活動をとりいれればいいのです。一例として, いま学んだばかりの文法項目や例文を使った「瞬間英作文」をペア・ワークでしてみる。その際自分が発話した英文を紙に書いて, お互い交換し添削しあう, などの活動を適宜とりいれることで, 生徒は体や口だけでなく, 頭もactiveに働くようになると思います。
限られた時間の中で、4技能をいかに効果的に指導していけばよいか、不安を感じています。何か具体的なアドバイスを頂ければと思います。
50分という短時間で4技能をそれぞれ切り離して指導するというのはとても難しいと思います。従って, 各技能をいかにして一連の授業の流れの中に統合していくかを考えるしかありません。1つのアイデアとしてですが, まずテキストの英文を文字を見せずにリスニング・リピーティングさせ, さらに今度は文字を見ながらリズムやイントネーションに注意して音読させます。その後で, その日の英文(2~3パラグラフでしょうか)を, 文の構造, 指示語, ディスコース・マーカーなどに注意しながら読み, 内容についての理解をたずねる質問を(できれば英語で)し, それに対して(できれば英語で)答えさせます。その後, 先生が選んだトピックについてペアで自分の意見を英語で話し合わせ, それを提出用紙に書かせて提出させます。次の時間の冒頭で, 先生が提出された英文を見て,全体として気づいた(気になった・よいと思った)点を簡単に指摘し,出来のよかった英文を紹介し講評します。
単語・イディオムをどうやって生徒に身につけさせればよいでしょうか。
語彙力は, passiveなレベルとactiveなレベルに分けて考えてよるとよいと思います。Passiveなレベルとは, 読んだり聞いたりして意味が理解できるレベル。これは, 従来の単語帳や熟語集の暗記が対応するものです。一方, 単語や熟語を書いたり話したりする場面で実際に使えるのがactiveなレベルの語彙力です。今後ますます4技能が重視されることを考えると, この後者の語彙力をいかに鍛え充実させるかが課題となると思われます。単語帳や熟語集で覚えさせた単語や熟語の中で, 読んだり話したりする場面で使用する頻度が高そうなものを先生が選び, 生徒に例文を作らせてクラスで例文集を作成するという活動をされてはいかがでしょうか。例文を提出すれば1ポイント, 例文として採用されれば3ポイントなどとポイント制にして, 何らかの点で評価に加点してあげれば生徒のやる気も高まると思います。


湯浅 弘一
理系数学
【8/5(日)実施】

最近、アクティブラーニングの影響もあり、プリントのみの授業(教科書、ノートをあまり使わない授業)が多いように感じます。プリントのみの授業をどう思われますか。また、使い方によると思うのですが、電子黒板やタブレットを使った方が力がつくのでしょうか。
アクティブラーニングが生徒間の話し合いだけによるものだけならば、プリントは効果がありません。本来のアクティブラーニングは研究のような要素を持っていますから、調べて発表するいわゆるプレゼンをさせる題材を課題として出すならばプリントは効果があります。しかし、単に教科書傍用問題集の問題や大学入試問題をプリント教材で解かせるだけならば効果はあまり期待できないと思います。タブレットもアトラクションになりかねないので、生徒がプレゼンとしてお使いになるならば効果がありますが、そうでなければ期待は薄いです。
生徒の多くがケアレスミスをしてしまうので、これを減らす手立てがあれば教えてください。
具体的ですが、まず、ノートからやや目を離す。大きく字を書いて頂くなど・・・思い込みを起こさせないように一つ、一つ書き写すことから教えます。計算ミスもそうです。計算ミスは大きな紙に丁寧に行うことから始めると小さなミスは減ります。ケアレスミスの多くは先生が慌てて答えを出させていることも考えられます。スマホ世代の生徒に答えを急ぐことは短気な生徒を作ることにもなりますので注意が必要です。
東大を目指すような生徒から、数学がとても苦手な生徒まで、様々なレベルの生徒たちが同じクラスで授業を受けています。どのような授業が、それぞれを満足させることができるでしょうか。
結論から申し上げますと、それはとても難しいです。50分の時間の中で始めは苦手な生徒に満足していただき、残り10分で東大レベルの関連問題を紹介するのが良いかと思います。雑多な感覚で書きますと、50分中25分は基礎から丁寧に行います。おそらく、その25分は東大レベルの生徒は非常に退屈すると思いますがそれは良しとするしかありません。25分を過ぎてからレベルを上げないでスピードをあげます。これが10分。最後15分のうち10分が東大レベル。5分は調整時間かと想定されます。お呼ばれする高校ではそのように私は振る舞うようにしています。
教科書の内容と入試問題の内容を比較したとき、「複素数平面」の単元が特に乖離しており、指導に苦慮しております。双方の間を埋めるためにやることは多くあると思うのですが、重点的に指導を行うポイントがあれば教えてください。
これは難しい解釈です。と言いますのは、私から見ますと複素数平面は教科書をきちんと理解していれば解けるものが多いです。雑多ではありますが、大学入試の複素数平面の出題分類としては(1)図形や関数の回転(2)方程式エックスのn乗=1の解に関する問題の2つに大別できます。さらにハイレベルの場合は三角関数の加法定理に関する問題や角度の和に関する問題がありますので教科書の理解が全てだと思います。もちろん、数学の先生方には釈迦に説法ではございますが、大学時代に複素解析を学んでいますからその出だしが高校生には導入の役に立つと思われます。生意気申し上げてスミマセン。
教科書指導から入試指導に移るタイミングでの指導の仕方、問題の選び方について、どんな問題を解かせるのが効果的ですか。
数学的理解の厳しい生徒の集団ですと教科書指導から教科書傍用問題集の演習指導を徹底させてから入試問題に移行するのがベストですが、数学的理解が進んでいる生徒の集団ですと一つのテーマ毎に教科書指導の延長で入試問題(テーマのわかる)を選ぶのがベストです。例えば、毎週土曜に現在私に代ゼミを通してご依頼いただいている高校で高校2年生と3年生の授業をさせていただいています。そこでの高校2年生は理解力が良く、図形と式の話をしながら線型計画法の直線タイプを直線の傾きが一定の物を演習した後に傾きが変化するハイレベルタイプ。そして、両方が変化するハイブリッドタイプを行ってみました。幸い、生徒のおかげでハイブリッドタイプは理解するに留まりましたが一定の効果が見られたと思われます。従って、問題をいつも用意をしておいて、その場の生徒の理解力で紹介するかどうかを見ます。一番良くないのは、こちらが用意したものを押し付ける授業・・・これは生徒、教える私の両方にストレスがかかるので不満満載になります。これだけは避けなければなりません。押し付けることは単に解法の暗記になり、数学の学習効果がありませんから。


梅澤 聖京
古文
【8/5(日)実施】

北澤 紘一
漢文
【8/5(日)実施】

国語教師でありながら、自分の古文力・漢文力にあまり自信がありません。自分の力をつけるために読んでおくとよい「オススメの本」をお二人に教えてほしいです。
<古文・梅澤 聖京>
今となっては古いものや絶版になっているものもありますが、ご参考になれば幸いです。
国語史関連
『日本語概説』『日本語史要説』渡辺実(岩波書店)
『日本語全史』沖森卓也(ちくま新書)
文法関連
『日本文法 文語篇』時枝誠記(岩波全書)
『増訂版 古典解釈のための日本文法』時枝誠記(至文堂)
『読解のための古典文法教室』小田勝(和泉書院)
『古代日本語時間表現の形態論的研究』鈴木泰(ひつじ書房)
文学史関連
『日本文学の流れ』古橋信孝(岩波書店)
いわゆる古文常識関連
『平安貴族の環境』『平安時代の儀礼と歳時』『平安時代の信仰と生活』(至文堂)
『平安朝の結婚制度と文学』工藤重矩(風間書房)
その他
『古文を楽しく読むために』福田孝(ひつじ書房)
『古典入門 古文解釈の方法と実際』鈴木日出男・小島孝之・多田一臣・長島弘明(筑摩書房)
『歌枕歌ことば辞典増訂版』片桐洋一(笠間書院)
『いまのことばから古語を知る現古辞典』古橋信孝・鈴木泰・石井久雄(河出文庫)
『源氏物語躾糸』三谷邦明(有精堂)


<漢文・北澤 紘一>
何冊かの入門書・解説書で勉強されるのが良いかと存じます。『漢文法基礎 本当にわかる漢文入門』(二畳庵主人・加地伸行/講談社学術文庫)、『漢文入門』(小川環樹・西田太一郎/岩波全書)などがおすすめです。教材中に出てきた漢字で説明しづらいと思うものがあれば、漢和辞典の当該項目をよく読むことも良いかと存じます。漢和辞典は、コンパクトなものであれば、『角川新字源』(小川環樹他編/角川書店)、『全訳漢辞海』(戸川芳郎監修/三省堂)をお使いになるとよいでしょう。また、指導の入門書として、『新人教師のための漢文指導入門講座』(塚田勝郎/大修館書店)もおすすめしたいと存じます。
<古文>和歌の指導をする際、風景と人事のつながりは非常に重要だと考えているのですが、風景と人事を生徒に意識させるために工夫されていることはありますか?
<古文・梅澤 聖京>
叙景・叙情、授業中には〈景〉と〈情〉と申しましたが、その理解をさせることは和歌の読解をする上で最も大事なことであると考えます。もちろん〈景〉だけの歌、〈情〉だけの歌もありますが、やはり「表風景・裏人事」の話ができるわかりやすい例をいくつかストックしておくとよいかと存じます。今回のセミナーでは先生方にすぐ使っていただけるようなわかりやすい具体例と説明を心がけてみましたので、ご指導の一助になれば幸甚に存じます。
<古文>古文に興味のない生徒や、受験で古文を利用しない生徒も担当しています。彼らにどのようにして学ぶ意味を伝えれば良いでしょうか?
<古文・梅澤 聖京>
毎回ほぼ同様のご質問をいただきますので、やはり大変腐心されるところなのかと存じます。私どもは大学受験予備校ですので受験対策がメインであるように思われがちなのですが、普段の授業においては当然ですがやはり「教科の指導」をするのがメインだと思っております。ですから、自分の教えている科目に興味をもってもらいたい、少しでも面白いって思ってもらいたいと思って日々授業をしております。以前のセミナーでは「生徒の興味を掘り起こす」というテーマで講義もいたしております。映像でもご覧いただけますので、ご興味がございましたら受講されてみて下さい。何事もわからないものには興味を持たないものだと思いますので、情熱を持って、わかりやすい授業をし、生徒自身に「作業」をさせて集中力を保たせ、自分でも「できる」という経験をさせていくことによって、だんだん興味を引き出していけるのではないでしょうか。
<漢文>なるべく効率的に生徒に句法を定着させたいのですが、どのように工夫すれば良いでしょうか?
<漢文・北澤 紘一>
句法だけを学ばせようとすると、定着をはかることが難しくなると存じます。教科書の本文中に出てきた句法・表現を解説し、該当句法を一つ一つ覚えてもらう方がよいでしょう。再読文字、否定形、、、と順番に覚えていく必要はありません。句法をまとめた副教材で授業・自習となりますと、似た表現が連続することになり、また読解に有効であることを感じ取りづらいため、生徒さんにとってはモチベーションが上がらず、混乱も生じ、定着をはかることは難しいと思います。
<漢文>センター対策を行うのですが、50分では授業時間が足りません。生徒に解答させ解説を行うといっぱいいっぱいです。時間内にわかりやすく授業をするにはどうすれば良いでしょうか。
<漢文・北澤 紘一>
近年のセンター試験「国語」の漢文は、入試の漢文として易しいものではありません。解説だけでも50分では難しいと存じます。(私は、センター試験の過去問を使い、本文の読解、読解に必要な知識や読み方の確認、設問解答のプロセスを授業する場合、90分が適切であると考えております。)解答と解説両方であれば、50分×2コマは必要かと存じます。50分以内に収めるためには、設問箇所以外の本文の読解(情報整理・必要知識・書き下し文・現代語訳等)はプリント等の形で事前に生徒さんに示した上で、単に知識を問う設問・訓読や訳が分かれば解ける設問をとばして、数問に絞ってお話いただく必要があるかと存じます。あまり急いで解説しますと、解答時にある程度理解できていた生徒さんにはわかる授業になりますが、解答時に躓いた生徒さんにとっては、何もわからない授業になる恐れがあると思います。


佐藤 幸夫
世界史
【8/5(日)実施】

世界史探求に関し、単位数減と知識を活用する発展的な場面が多くなることを考慮すると、世界史Bよりも効果的に短い時間で、知識を習得させる必要があるかと思います。効果的に基礎的な知識を習得させる工夫があれば、教えてください。
世界史が必修科目になって以来、一部の難関大学で出題され続けてきたマニアックorハイレベルな用語(用語集3以下)にとらわれてしまい、必要以上に多くの用語を教えるようになってきました。よって、ここで、授業のスリム化と講座の選別が必要になってくると思われます。教科書以外の用語を一切無視した、いわゆるセンターレベルの世界史の重要性に立ち返る必要性です。勿論、難関大学で世界史を稼ぎたい生徒のために、別講座を準備する必要は出てきます。元来教えすぎだったということを我々世界史講師は認識せねばなりません。また、その授業においては、板書は歴史的な構図や流れを書き、業績や内容の詳細は書面にて確認させる方法をとれば、時間短縮が可能になると思われます。
問題演習形式の授業で、単調な解説で終わりがちになる。何をポイントにして指導、解説すればいいのか、何かアドバイスをいただけますか。
問題演習で扱う問題のレベルによるでしょう。もし、教えた内容の確認をするための問題演習であれば、リード文や選択肢から派生させたレベルUPの板書を作り、【レベルUP①】【レベルUP②】などのように連続性を持たせたノートを生徒に作らせていくと良いでしょう。また、「入試問題に挑戦」的な問題演習の際には、基礎の確認の板書や正誤を解くテクニックを教えてあげられるよう問題の選択をしっかりとする必要があるでしょう。
世界史の授業でアクティブラーニングを取り入れてみたいと考えているものの、試験範囲を終わらせなければいけないということを考えると、講義形式の授業になってしまう。歴史科目でアクティブラーニングを実践するためには、どのような単元を扱えばよいか、どのような事前準備をすればよいのかが分からず、困っています。何かアドバイスをいただけますか。
講演の中でもお話させて頂いたように、レベルの高い生徒であれば討論会や製作系のモノが興味をそそりやすいですが、初学に近い生徒や入試ではあまり使わない生徒に対してはゲーム性の高いものが効果的です。いずれにしろ、アクティブラーニングのネタとしては、写真・絵画が最も使いやすく、次に人物の業績や事件の特色、地理的な要素などが生徒には受け入れやすいと思われます。となると、単元的には文化史、皇帝や国王が頻出となる各国史、世界史というところから離れた「地理(国名・国旗・地形など)」はゲームの要素になりやすいです。生徒に歴史の旅をさせてみるとか、世界一周をさせてみるとか…バーチャルな世界で実現させてあげるのも面白いと思われます。
生徒に興味を持たせながらも、入試に対応できる授業をいかに毎回行うことができるか困っています。何かアドバイスをいただけますか。
興味は生徒それぞれに大きな相違があります。よって、幅広い範囲で様々な角度でアプローチすることが望まれます。かなり、諸先生方の広い知識や好奇心が必要となるでしょう。ただ、他科目よりも世界史には広いアプローチアイテムがあります。映画&小説&マンガは好む人が違います。ユーチューブから古代や中世のドキュメンタリーを持ってくるのもあり。また、建造物の写真や誰かの旅日記なども活用できるでしょう。スポーツが好きな生徒にはそこからの世界史もあります。いわゆる「テーマ史」から入れば、生徒の身近なモノと入試の用語を結びつけることもできます。戦後史は簡単です。
歴史が嫌いなわけでもなく、勉強もしているが、どうしても覚えられない(テストで点が取れない)という生徒へのアドバイスの仕方・効果的な学習法を教えてください。「まずは流れを掴んでから~」では改善がされない状況です。
正直、かわいそうな話です。私が担当する受験生にも毎年1~2名はおります。頑張っているにもかかわらず、覚えられない、すぐ忘れてしまう・・・といった感じの子。おそらく、この子は歴史だけではなく、他教科の単語も覚えられないという現実です。ですから、流れから入ったとしても、用語を覚えていないので点に繋がらないということになります。先天的なのか、家庭での初期学習での問題なのか・・・我々には測り知れません。我々にできることは、その子が確実に理解できる単元、つまり、ここなら点が取れるという単元をできる限り多く見つけてあげることでしょう。その子の趣味や特技などから判断、できれば単語カードなど簡素な暗記法で済む単元です。世界史は全範囲が出題されるわけではありません。この国なら、この地域なら、この時代なら・・・これがその子の自信となり、さらには受験が終わった後に、得意だった地域や国へのさらなる興味に繋がってくれれば、本当の世界史講師の役目を果たせたと感じてよいのではないでしょうか?