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共通テストでもっとも重要なのは単語と文法 - 元井 太郎(古文)

古文講師  元井 太郎

― 今年のセンター試験はどうでしたか。

  • インタビュー風景漢文で大学入学共通テスト(以下共通テスト)を意識した問題が出題されました。漢詩の情景にふさわしいイラストを選択する思考力を問う問題でした。古文は従来のセンター試験を踏襲した形式でしたが、共通テストでは新形式の問題が古文の大問でも出題される可能性があります。しかし、先日公開された「令和3年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針(以下作成方針)」には「これまで問題の評価・改善を重ねてきた⼤学⼊試センター試験における良問の蓄積を受け継ぎ」とありますから、共通テストもセンター試験をベースとしたものになるでしょう。共通テスト対策の指導においても従来のセンター試験に向けた指導で蓄積されたノウハウは有効です。

― センター試験をベースとしつつも共通テストではプラスアルファの内容が出題されます。どのような対策が有効でしょうか。

  • 試行調査の問題では、設問が複数のテキストから構成される問題が特徴的でした。作成方針の国語の部分には「⼤問ごとに⼀つの題材で問題を作成するだけでなく,異なる種類や分野の⽂章などを組み合わせた,複数の題材による問題を含めて検討」とありますので、複数テキスト形式の出題については準備が必要でしょう。こうした複数のテキストを関連付けて出題する問題は、私立大学でも出題されています。早稲田大の現古融合問題は有名です。古典を研究する際は古典を理解した上でそれを土台に日本語(=現代語)で議論を行います。そうした活動に適性のある生徒に合格してほしいという大学の希望の表れでしょう。

    共通テスト対策として考査問題などで複数テキストの問題を作成する場合は、『方丈記』や『徒然草』がお薦めです。これらは古典における代表的な随筆で共通したテーマを見つけやすくなっています。それぞれから一部を抜粋して提示し、差異や共通点を考えさせるのはどうでしょうか。また現代文の教科書によく採択される芥川龍之介の『羅生門』『鼻』は『今昔物語』を題材にしています。これらを組み合わせた問題は生徒の興味を喚起しやすいのではないでしょうか。

    また会話文形式の問題も出題が予想されます。こちらは使える問題のストックが少ないですから、代ゼミも含めた各予備校の模試なども活用していただければと思います。また時間に余裕がある場合は、教科書の文章を読み終えた後に、関連する資料を提示し、それについて生徒同士で意見交換させることも有効です。

― 共通テストに向けた指導をする際に重要なのは何でしょうか。

  • インタビュー風景最初にお話しした通り、センター試験に向けた指導をする上で重要なものが、共通テストにおいても重要になります。私は単語と文法が最重要と考えています。予備校で指導していて感じるのですが、高校時代に単語と文法をきちんと勉強している生徒は授業内容をよく吸収できます。

    例えばセンター試験では傍線部の解釈問題が頻出です。こうした問題に取り組む際に重要なのが単語と文法なのです。今年(2020年1月)のセンター試験で「ゆかしくおぼしめして」の解釈が問われました。これは「ゆかしく(プラスのイメージの単語)/おぼしめして(尊敬)」と分けて、選択肢と照らし合わせることで正答できます。こうした考え方や指導法については2020年夏期のワンデイセミナーでもお話します。

    単語は学校で配られる単語帳や副読本をきちんと1冊仕上げさせてください。完璧主義だと挫折してしまいますからまずは単語のプラス・マイナスのイメージだけでも漠然と覚えるようにして1冊終えるように指導してください。文法については敬語と助動詞が重要です。私は生徒に助動詞の活用表をきっちりと覚えるよう指導しています。

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聞き手:福田