生物講師 大堀 求
共通テスト生物
― 平成29年と30年に行われた共通テスト生物の試行調査で、一部の問題の正答率が10%を下回ったこともあり、共通テスト生物の作問方針や難易度調整に関する事前の評価については、批判的なものも見られました。その影響もあってか、共通テストの初実施となった令和3年度第1日程では、生物の平均点は7割を超える非常に易しい試験となっています。
その反動で令和4年度は平均点を20点以上下げ、令和5年度は更なる難化が見られました。無調整の平均点は4割を下回り、物理との得点差によって令和3年度以来2度目となる得点調整が行われています。このように、共通テスト生物は難易度の面で非常に不安定な試験という印象を受けますが、大堀先生は共通テスト生物の難易度についてはどのようにお考えですか。
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令和3年度第1日程については、選択肢の文が平易で選びやすく、また実験考察問題も標準的なものが多かったです。いくら点数面に対する配慮があったにせよ、あそこまで易しくする必要はなかったのでは、と思います。令和4年度の生物はかなり難化しており平均点についても低下が見られたため、令和5年度は易しくする方向に調整されるかとも考えたのですが、令和5年度の問題を見ると易しい試験を作ろうという意図はまったく感じられませんでした。
物理を中心とした他教科との得点差が生じやすい点が懸念材料ではありますが、今後もある程度難しい問題を揃えた試験が続いていくのではないでしょうか。ただし、令和5年度の結果を受けて、令和6年度については多少易しめの試験になるとは思います。共通テスト全体で思考力が非常に重視されていますが、生物に関しては、少しだけ思考問題の数を減らした方が、難易度を調整しやすいのではないでしょうか。
― それでは、令和5年度共通テスト生物本試験の各大問と各小問について先生の印象をお伺いできればと思います。
- 第1問の問1から難しい問題が配置されていました。「オペロン※に関連して、原核生物における遺伝子発現の調節に関する記述として最も適当なものを選ぶ」ことが要求されています。
一般的な模試問題や入試問題においては、導入部分には取り組みやすい平易な問題を配置することがセオリーですが、本問では正解の選択肢を選ぶことがかなり難しいのです。選択肢①と②に共通するのが「オペロンを構成する個々の遺伝子」という表現ですが、オペロンの概念をきちんと学べていない受験生はこの部分で躓いてしまったと思います。選択肢③は知識に基づいて比較的容易に「正解ではない」と判断できますが、選択肢④の「転写には、核内にある基本転写因子が必要である」の文章自体は正しいので注意が必要です。この選択肢は原核生物においては成り立たないため、問題の条件から誤答と考えるべきですが、選択肢①や②で戸惑い焦って④を選んでしまった受験生もいたと思います。
※オペロン:単一のプロモーターの制御下に置かれている遺伝子のセット。
― 試験の最序盤から正確な知識が要求されたのですね。生徒達に知識事項を示す際にはどのような点に気を付けた方が良いのでしょうか。
- この遺伝子の分野では、紛らわしい用語や概念が次々と登場してきます。例えば基本転写因子、転写複合体、転写調節領域、調節遺伝子、調節タンパク質などについては、混同して覚えている生徒も多いので注意が必要です。
― 第1問の他の小問についてはどうでしょうか。
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続く問2は実験考察問題ですが、学力のあまり高くない受験生は何度も問題を読み返したのではないかと思います。実験内容を説明する文章の中にαサブユニット・βサブユニットというワードが登場しますので、サブユニットに関する知識がなければ実験の意図を正しく理解できなかったでしょう。
説明文の最後には、「遺伝子Aと遺伝子B、遺伝子Cと遺伝子D、および遺伝子Eと遺伝子Fは、それぞれオペロンを形成している」とあり、ここでもオペロンに関する理解を要求されます。また、私の印象としては読解力の低い生徒は「それぞれ」という副詞が含まれる文章の理解に梃子摺る傾向があります。
― この傾向については何か理由があるのでしょうか。
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はっきり言ってしまうと国語力の問題だと思います。近頃の生徒達を見ていると成績上位の層にはそこまで大きな問題はないのですが、成績中位以下の層は国語力がネックになっていると思うケースもあります。知識の確認が中心のセンター試験であれば80点は取れていたであろう生徒が、共通テストでは大きく失点してしまうのです。
共通テストでは、問題文が示す内容を適切に把握できれば、正解までスムーズに辿り着ける問題がよく出題されています。これは、知識問題だけでなく実験考察問題でも同じです。
しかし、思考の土台となる生物学の知識や読解力を含めた国語力が不足している受験生からすると難しい試験に感じられるでしょう。この2つの力が揃って初めて正解に向けて考えを進める土台に立てると思います。生命現象を正しく理解し生物学の知識が充実している受験生については、それらが読解力の不足をかなり補ってくれるでしょう。
― 続く第2問についてはいかがでしょうか。
- 第2問では遺伝子重複と色覚(二色型/三色型)が題材として扱われています。この内の遺伝子重複については、最近入試でよく取り上げられるようになりました。問1では、3つの選択肢について正否を判断する必要がありますが、遺伝子重複についてしっかりと学び理解できていないと正答することは難しかったでしょう。
― 遺伝子重複については、共通テスト以外ではどのような入試で扱われているのでしょうか。
- 例えば、令和5年度北海道大学の大問2で出題されています。このように注目されているテーマですから私もしっかり生徒達に指導していく予定です。
― もう1つの題材である色覚については、入試によく登場するテーマなのでしょうか。
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色覚に関しては昔からいくつかの大学で出題されているテーマで、探せば過去問も見つけられます。
よく過去問を研究している受験生であれば、この第2問を解き進める上で、「X染色体を2本もつ雌でなくては三色型色覚にはならず、X染色体を1本しかもたない雄は必ず二色型色覚になる」と気づきやすかったと思いますが、そうした経験がないままに「なんとなく」で生物を勉強していた受験生は本大問の全体像を理解できなかったと思います。
― 第2問の問4では計算問題が出題されました。この小問についてはいかがでしょうか。
- 数的な処理に慣れている受験生であれば、すぐに「4段階の興奮が10種類の細胞で生じるので、起こりうる全てのパターンは410通り」と考えられたはずですが、慣れていない受験生は苦戦したことでしょう。
― 共通テストでは、知識・技能の活用力を評価するために生徒が初めて見るであろう素材が積極的に採用されています。そうした出題はなかったのでしょうか。
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そうした観点については、第3問実験1で与えられた葉緑体の配置図(図3)を取り上げてお話しします。日なたと日陰で葉緑体の配置が変化することについては、新課程の教科書で解説されており、一部の新課程用の教科書には同じような図が掲載されています。
勿論、令和5年度入試の受験生は旧課程の教科書で学習していますから、多くの受験生にとっては初めて見る資料だったと思います。恐らく新課程の学習内容の中で、旧課程では手薄になっている、或いはあまり扱われていない内容を敢えて旧課程の入試で扱うことを目指したと考えられます。
令和6年度共通テストは、旧課程で実施される最後の共通テストです。令和5年度と同じく新課程用の教科書に掲載されている図表から出題される可能性も考えられますから、2023年度現在の高3生を指導する際にも、新課程用の教科書中のコラムなどからトピックを探してみることは効果的ではないかと思います。
― 新傾向の問題が出題されているのですね。逆に頻出テーマからの出題はなかったのでしょうか。
- 第4問に登場する窒素固定と窒素同化は、よく問われるテーマです。特に共通テスト生物基礎では、必ずと言っていいほど出題されています。裏を返すとそれだけ多くの受験生の理解が不十分な分野であると見て良いでしょう。
― なぜ、生徒達はこの分野で躓いてしまうのでしょうか。
- やはり、窒素固定と窒素同化については字面も似ていて混同しやすいということが大きいと思います。私もこの分野を指導する際は生徒達がそれぞれの概念を分けて理解できることを目指しています。また、字面に関わる部分としては、同じく第4問に登場する根粒菌とマメ科植物の「相利共生」も注意が必要な部分です。
― 相利共生については、どのような部分が難しいのでしょうか。
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言葉のイメージからお互いが助け合っているという認識を持ちやすいのですが、そう考えてしまうと正しく理解することは出来ません。相利共生の実態は助け合いではなく奪い合いです。
第4問の問4以降に取り組むことで、両者が常に得をしているのではなく、条件によっては得も損も生じるということが確認できる問題の構成になっています。実は名古屋大学が過去に複数回このテーマについて出題していることからも、根粒菌とマメ科植物の相利共生は大学入試生物の重要テーマの1つと見なしてよいでしょう。
― 第4問の各小問についてはいかがでしたか。
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私が解いた時にはグラフの読み取りに時間がかかったことを覚えています。図1では、土壌水分中の窒素とリンの濃度が整理されていますが、窒素に関しては、NO3-とNH4+で縦軸のスケールがかなり異なります。
何か意図があるのかと思いながら解き進めましたが、この点には特に触れずに正解を出すことができたため、未だに何か意図があったのかと気になっています。もしかすると、土壌中のNH4+の多くが亜硝酸菌・硝酸菌によってNO3-になった結果として、土壌中ではNH4+が少なくNO3-が多いため、縦軸の値を調整したのかもしれません。
また、図2の肥料の条件による成長量の比較実験の結果に関するグラフは、データに明確な特徴が少なく比較が困難であるため、確信をもってデータを解釈することは難しいと感じました。
植物は、無機窒素化合物から有機窒素化合物を合成する際にNO3-を取り込む場合とNH4+を取り込む場合があります。問5ではこの違いについて穴埋め形式で考えさせています。
土中の亜硝酸菌や硝酸菌による硝化作用についてしっかり学習できていれば、「植物体内では硝化作用の逆向きに反応が進み最終的にはNH4+からアミノ酸が合成されるため、NH4+よりもNO3-を用いる経路の方が必要なエネルギーが大きい」と判断できます。本小問ではかなり深い学びが求められており、非常によい教材ですから令和5年度夏に出講予定のワンデイセミナーでもお話しをしようと考えています。
― かなり高度な問が出題されたのですね。なぜここまでハイレベルな内容を扱うのでしょうか。
- 本問だけでなく共通テストでは、本当に生物をしっかりと勉強していなくては正答できない深いテーマからの出題がよく見られます。また、そうしたテーマを敢えて単独では問わず、各生命現象のつながりを重視している様子も窺えます。
様々なテーマを上手く融合させた問を出題することで、それらのテーマが受験生の頭の中でしっかり結びついているかを評価しているのでしょう。残念ながら出題者が期待するレベルで生物を勉強している受験生はそう多くはありませんから、結果的に解きづらい試験、点数がとれない試験になってしまっているのです。共通テスト生物はマーク式の試験ですが、内容的には国公立大学の2次試験と遜色のないものが出題されています。
― その他に共通テスト生物で印象に残った問題はありますか。
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第5問の問4もかなりの読解力が要求される問題です。私も問題文を数度読み返して解答しました。「変異体の雌から生み出された卵の配偶子は分化できない」という条件から、正解を判断することは出来ますが、生徒を指導する際にはもう少し有益な解法を伝えてあげるべきです。例として、私の思考の流れをお話しします。
問4の問題文と実験4の内容から、実験の目的は、「Xが始原生殖細胞を配偶子に分化させるのか?」を調べることとなります。そして、問4の問題文の1行目より、「始原生殖細胞が配偶子に分化するのは成虫の時期らしい」と推測できます。また、 エ と カ が産んだ卵はやがて配偶子を作ったり作らなかったりしているので、観察は成虫になる段階まで行われたことも分かります。
すると、 エ と カ の母親は正常な遺伝子Xを持っているはずですから、 エ と カ に入る語句は「野生型」です。更に、 エ(=野生型) では、 ウ から移植した始原生殖細胞が配偶子に分化したのですから ウ に入る語句も「野生型」となります。一方の カ(=野生型) では、 オ から移植した始原生殖細胞が配偶子に分化しなかったのですから、 オ に入る語句は「変異型」です。このように考えると本小問の正解は②であることが分かります。
共通テスト生物基礎
― 生物は少し難しめの試験でしたが、生物基礎の難易度についてはどのようにお考えですか。
- しっかりと勉強している受験生がきちんと点数を取ることができる大学入試として適正な試験だと感じました。
― 問題の内容やテーマについてはどうでしょうか。
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令和5年度の試験においても2つの頻出テーマからしっかりと出題が見られました。1つ目は、生物でもお話しした「窒素の循環」です。生物基礎では、第3問A問題で出題されました。この分野では化学反応式を理解する必要があり高校生物の中では化学的な力の要求されるテーマです。文系の生徒を中心に苦手意識をもってしまう生徒も多いのですが、それだけに共通テスト生物基礎では頻繁に取り上げられます。このテーマについてしっかりと指導を行うことで生徒達の得点源にしてあげることができるでしょう。
この第3問A問題では、水槽のイラストが与えられています。個人的な感想なのですが、昔、水槽で金魚、鯉、鮒、鰌、ゲンゴロウなどを飼っていたことがあり、ろ過装置などについて当時を振り返りながら興味深く問題を解きました。
― もう1つの頻出テーマとはなんでしょうか。
- 第3問B問題で出題されたバイオームです。特に気温と年間降水量を軸にとった分類図が与えられることが多いです。1つの図中に多くの情報が含まれているので問題を作りやすいのだと思います。
国公立大学や私立大学の入試問題
― 先生は、東京大学の解答速報作成も担当されています。東京大学の問題で印象に残ったものはありましたか。
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第2問の植物の師管によるスクロース輸送の仕組みに関する問題が興味深かったです。名古屋大学でも似たようなテーマの問題が出題されています。
東京大学で出題されたテーマについて、翌年や翌々年に別の大学が出題するということはよくあります。「師管によるスクロースの輸送」については、先生方から生徒達に是非とも伝えていただきたい重要テーマです。
― 東京大学のその他の問題についてはいかがでしょうか。
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第3問E問題で問われた「血液型がそれぞれO型の父親とA型の母親からB型の子どもが生まれた」という設定の問題が解いていて面白いと感じました。
また、同じく第3問のC問題については、アミノ酸の側鎖に関する知識がある受験生は有利に解き進められたと思います。
― アミノ酸の側鎖についてどのような知識が求められたのでしょうか。
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この問題では、アラニン、グリシン、セリンという3つのアミノ酸が扱われました。この内アラニン(側鎖はメチル基―CH3)とグリシン(側鎖は水素―H)は、化学でもよく扱われる最も構造が単純なアミノ酸であるという理由で題材に選ばれたのだと思います。セリン(側鎖はヒドロキシメチル基―CH2OH)についても比較的単純な構造のアミノ酸ですので、こうした構造が平易なアミノ酸については覚えておいた方が良いかもしれません。
その他にも、側鎖に硫黄(S)が含まれているメチオニンやシステインなども入試で取り上げられる可能性は非常に高いと思います。
― 他の大学でもアミノ酸の知識が問われる出題はあったのでしょうか。
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実は、慶應義塾大学の看護学部でも20種類のアミノ酸について知っていれば解きやすいという問題が出題されています。勿論、20種類のアミノ酸についての完全な知識が要求された訳ではありませんが、アミノ酸の極性(酸性またはアルカリ性)に関する知識も問われていました。
先ほどお話ししたように、構造が単純なアミノ酸や側鎖に硫黄を含むアミノ酸に加えて、他のアミノ酸にはあまりない特性をもつアミノ酸については重点的に指導をしておくと良いでしょう。
― 京都大学の問題についてはどうでしょうか。
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大問Ⅳではミドリムシの起源に関する問題が出題されており興味深く解きました。また、大問Ⅱではマイクロサテライト※について問われました。京都大学だけでなく東京大学や慶應義塾大学なども過去にはマイクロサテライトに関する問題を出題しています。
これらの大学においては、レトロトランスポゾン※※についても積極的に出題している印象があります。先ほどお話ししたように東京大学で出題されたテーマについて、後に他の大学が出題して数年間出題のブームが続くこともありますから、この2つもしっかり押さえておきたいテーマです。
※マイクロサテライト:核や細胞小器官のゲノム上に存在する数塩基の単位配列の繰り返しからなる反復配列
※※レトロトランスポゾン:トランスポゾンの1種である。レトロトランスポゾンは自身をRNAに複写したのち、逆転写酵素によりDNAに複写し返されることで結果的に転移するため、レトロトランスポゾンの転移にはDNAの複製が伴う。
― その他にも重要なテーマを挙げていただけますか。
- 例えば北海道大学で「ES細胞とiPS細胞」、「胚と胚乳の遺伝現象」、「組換え価」などに関する出題がありました。これらはいずれも重要なテーマですから、生徒達にはしっかり伝えていこうと考えています。
また、大阪大学ではミカエリス・メンテンの式について両辺の逆数をとったラインウィーバー=バークの式が出題されました。この式についても毎年どこかの大学が出題していて、令和5年度入試では代ゼミの模試からも的中を出すことができました。これも必ず押さえておきたいものの1つです。
― 国公立大学全体を見て、いわゆる典型問題からの出題はあったのでしょうか。
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北海道大学では「卵割と通常細胞分裂の違い」や「タンパク質ホルモンが経口摂取で効果を発揮しない理由」が問われました。これらは言わずと知れた定番問題です。
また、東北大学の大問3では「カイコガのジグザグダンス」が登場しました。九州大学の大問〔5〕でも「赤潮で魚が死亡する理由」を論述させています。これらも一昔前によく問われた問題です。
共通テスト生物については、お話しした通りセンター試験時代から形式を変化させようという意図が見えているのですが、国公立大学の2次試験については、時事的なトピックや新しい研究成果がワンポイントで盛り込まれることはあっても、出題全体のレベルでは従来からそこまで大きな変化はないと思います。
最近の入試の流行だけを追うのではなく、昔から出題されている典型問題についても1度はしっかりと押さえて生徒達を指導していくことが重要です。
― 新課程らしい出題はなかったのでしょうか。
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名古屋大学の大問Ⅰはチンパンジー、ネアンデルタール人、ホモサピエンスの進化について塩基を比較して考察させる問題でした。新課程では教科書の最初に進化の分野が配置されますから、この出題には新課程を先取りする意図があるのかもしれません。
名古屋大学の入試問題は5年ほど前から急激に変化してきています。以前は必ず10個程度の穴埋め問題が冒頭に配置されていましたが、近年はそうした知識問題はほとんど出題されず考えさせる問題が中心の試験になっています。あまり知識に偏重しないという意味では共通テストに似た雰囲気があるかもしれません。
― 新課程の国公立大学入試生物を受験する生徒達にはどのような指導を行うべきでしょうか。
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センター試験の過去問や共通テストの過去問・試行調査問題を活用することが効果的です。例えば、神戸大学の大問Ⅱで酵素のアイソザイム※に関する問題が出題されており、これは共通テスト試行調査の問題に類似しています。東京医科歯科大学でもヒキガエルの定位反応※※に関する問題が出題されており、これは以前のセンター試験の問題に似ています。
今後は共通テストから着想を得て各大学が2次試験の問題を作るという動きも出てくるかもしれませんから、センター試験や共通テストの問題を活用して重要テーマを生徒達に伝えていくことも重要です。
※アイソザイム:ある酵素に対してほぼ同じ活性を持ちながら、アミノ酸配列が異なる酵素
※※定位反応:ヒキガエルは餌が動くのを見ると、まずその方向に向き直る。定位反応は餌獲り行動の第一段階である。
― 私立大学の問題で印象的なものはありましたか。
- 早稲田大学理工学部大問〔Ⅱ〕では、両親からのミトコンドリアの遺伝に関して問われました。原則としてミトコンドリアは母親由来のものが伝わっていきます。ただし、種によっては父親由来のものが子に伝わる事例もあります。このあたりの内容について、過去には千葉大学や京都大学で実験考察問題が出題されたこともありました。
― 最後に全国の先生方へのメッセージをお願いいたします。
- やはり共通テストはセンター試験と比べて難しくなっており、多くの受験生にとっては難しい試験です。ですが、生物に関しては他教科の先生方から聞こえてくる共通テストと2次試験の乖離というものはあまり見られません。共通テストに向けた対策は2次試験にも効果を発揮しますし、逆も同じです。
新課程における生物の指導においては、基礎的な読解力や正しい生物学の知識、更にはそうした知識を結び付けた生命現象に関する高度な理解を生徒達に身につけさせる必要があります。
私が担当する令和5年度の夏のワンデイセミナーでは、そうした指導を行う上で役立つ情報をお伝えする予定ですので、よろしければご参加ください。
聞き手:福田
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